
カンジダ(性器カンジダ症)の基礎知識
カンジダ症はおおよそ3人に1人の女性は、「聞いたことある」「もしくは知っている」と答える感染症です。カンジダ症は性病と異なり、元々体内にある菌に感染して発症することがほとんどです。カンジダ症の原因や、症状、治療法や予防法までそれぞれ詳しく説明しましょう。
カンジダ症とは?
カンジダ症とはカンジダ属の真菌が原因で起こる病気です。カンジダ菌(真菌)はもともと体内にある菌です。いつもは大人しくしていますが、様々な要因によって悪さをします。
カンジダ症は主に女性がよくかかる病気です。女性の5人に1人がカンジダ症を経験しています。(graph2)また、20代が一番カンジダ症になりやすく、年齢を重ねるごとに感染率は減っていきます。(graph3)男性はカンジダ症にかかることは滅多にありません。稀に免疫力が下がっているときに感染することがありますが、圧倒的に女性が感染しやすいでしょう。
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カンジダ症に感染する原因は?

カンジダ症に感染する原因は何でしょうか。原因の9割は自己感染です。ただし、稀に性行為で感染する場合もあります。それぞれ詳しく原因を説明しましょう。
カンジダ症の原因は9割が自分自身
カンジダ症の原因の9割は自己感染です。カンジダ菌は体内にいる常在菌です。普段は大人しくしていますが、過労やストレスで免疫力が下がると、カンジダ菌が繁殖し、感染してしまうのです。他にも、抗生物質の使用、妊娠、糖尿病になると、免疫力が低下するため、カンジダ症にかかりやすくなります。
稀に性行為で感染することも...
性行為でカンジダ症が感染する割合は、20人に1人から10人に1人(5~10%)です。性行為で感染することは滅多にありませんが、免疫力が落ちているときは稀に感染することがあります。パートナーに感染していることを知った際は、性行為は控えましょう。
他にも、カンジダ症患者とタオルを共有して使用することも控えてください。タオルを通して感染してしまう恐れがあります。ただし、カンジダ症患者とお風呂やプールに一緒に入っても感染はしないので、安心してください。
繰り返し感染してしまう...それはなぜ?

カンジダ症は再発率がとても高い感染症です。なぜ繰り返しカンジダ症にかかってしまうのでしょうか。
考えられる原因は2つあります。1つ目は、不規則な生活などによる、慢性的な免疫力の低下です。カンジダ症が完治したあとも、生活スタイルを変えなければ、またすぐにカンジダ症にかかってしまいます。2つ目はカンジダ症患者との性行為です。
不特定多数の人とセックスするときはもちろん、パートナーとのセックスでもコンドームなどの避妊具はきちんとつけましょう。
カンジダ症になったときの症状
カンジダ症になったときは、どのような症状が出るのでしょうか。カンジダ症になると、性器周辺や、口周辺などに症状が出ます。それぞれ、どのような症状が出るか、詳しく見ていきましょう。
性器周辺の症状
性器周辺の一番多い症状は、男女ともに強いかゆみを生じることです。かゆみ以外にも性器周辺に様々な症状が出ます。男女それぞれどのような症状が出るのか紹介しましょう。
男性の場合
男性の場合、亀頭や包皮に強いかゆみが出ます。その他にも、下のような症状が出ます。まれに尿道炎を起こす場合もあります。
- 強いかゆみ
- 赤くなる
- 白いカスや水泡が出る
- 赤い発疹が出る
- 皮膚がふやける
女性の場合
カンジダ症にかかったとき、女性の症状として一番多いのは強いかゆみです。その他にも、おりものの状態、量、色が変化します。その他にも下のような症状が生じます。
- 性器周辺に激しいかゆみや灼熱感がある
- おりものが変化する
- 性交時に痛みがある
- 排尿時に痛みがある
性器以外の症状
性器以外の症状としては、男女共通で、口内炎や唇に炎症を起こします。口内炎は舌や頬の内側に白い海苔のようなものや斑点が現れたり、赤くなったりします。唇は、両端の口角が裂け、口を開けた時に痛みが生じます。
カンジダ症の治療法を教えて!

カンジダ症になった場合、病院で治療する方法と、市販薬を買って自分で治療する方法があります。病院ではどのような検診をするのか、市販薬はどういう種類があるのかなど、それぞれの治療方法を詳しく説明しましょう。
病院で治療する場合
カンジダ症を病院で診てもらう場合、「何科にいけばいいのか」「どのような診察をするのか」など不安が多いはず。診察の流れを知り、安心して病院へ行きましょう。
カンジダ症は何科にいけばいいの?
カンジダ症にかかった場合、男性なら泌尿器科や性病科へ行きましょう。女性の場合、産婦人科や婦人科で診察してもらいます。
どのような検査をするの?
検査方法は尿検査もしくは亀頭や膣内の分泌物を採取した検査です。どちらかの方法のみ行って検査する場合や、2つの方法を併用して検査する場合もあります。亀頭や膣内の分泌物は、下着を脱いでの検査なので、抵抗はあるかもしれませんが、数秒で終わる簡単な検査です。痛みもないので、不安になる必要はありません。検査結果は1週間程度で出ます。
どのような治療をするの?
病院でもらう治療薬は軟膏や膣錠、膣坐剤です。男性は軟膏やクリームのみですが、女性は膣内で炎症を起こしてる場合、軟膏の他に、膣錠や膣坐剤も処方されます。通常は、連日で通院して様子を見るのが望ましいですが、週に1回の通院でも可能です。
治療費はいくら?
カンジダ症の治療費は、少なくても3,000円程度です。多くても10,000円以内で治まるでしょう。この金額は保険を適用している場合です。病院によって、保険が適用できない医療機関もあるので、あらかじめ電話で聞いておいた方がよいでしょう。
市販薬で治療する場合
「病院にいくのは恥ずかしい……」そんな人は病院に行かず、市販薬で治療することも可能です。ただし、市販薬で治療できるのは再発した人のみです。なぜなら、カンジダ症は他の性病と症状がよく似ているため、初めて感染した本人が見分けるのは難しいからです。初感染した場合は自分で判断せずに、医師の診断のもと治療しましょう。
どこで購入できるの?値段は?
カンジダ症の市販薬はドラッグストアで手軽に購入できます。値段は1,000円~3,000円程度です。
どんな種類があるの?
市販薬は男女同じものを使用します。女性の場合は膣錠や軟膏を使用しますが、男性は軟膏のみで治療します。カンジダ症の治療薬は下のような種類があります。市販薬を使って2~3日経っても症状が改善されない場合は病院へ行きましょう。
- メンソレータムフレディCC(膣錠・クリーム)
- フェミニーナ膣カンジダ錠
- エンペシドL
- メディトリート(膣錠・クリーム)
カンジダ症の予防方法とは

カンジダ症はかかりやすく、再発することも多い感染症です。そうならないためにも、普段から予防をしっかりしましょう。カンジダ症の予防方法は日常生活のなかでできる簡単なものです。
免疫力を高める
カンジダ菌は免疫力が低下すると繁殖しやすくなります。バランスのとれた食事や十分な睡眠、ストレスを溜めないようにしたり、適度に運動するなど、日ごろから免疫力をUPさせましょう。
性行為の際、避妊具をつける
性行為の際は、コンドームなどの避妊具をつけましょう。避妊具をつけることによって、性器同士が直接的な接触を避け、感染の予防になります。
通気性の良い衣類を身に着ける
カンジダ菌は湿気の多い場所を好みます。化学繊維の衣類より、綿や麻などの植物繊維の衣類を身に着けるようにしましょう。
局部を洗いすぎない
局部を洗いすぎると、かえってカンジダ症にかかりやすくなったり、かゆみが増してしまいます。適度な加減で洗うようにしましょう。
カンジダ菌の繁殖を防ぐ食品を食べる
ヨーグルトやシナモンには、カンジダ菌の繁殖、発育を抑える働きがあります。カンジダ症を繰り返してしまう人は意識的に摂取しましょう。ただし、ヨーグルトは人によって、カンジダ症が悪化する恐れもあります。医師に相談したうえで摂るとよいでしょう。
まとめ
カンジダ症の原因の9割は、免疫力の低下などから起こる自己感染です。稀に性行為で感染する場合もあります。
カンジダ症の症状としては、男女共に強いかゆみが生じます。他にも、亀頭周辺やおりものに変化があります。
カンジダ症に治療法として、病院へ行く場合と市販薬で治す場合があります。初感染したときはは、病院へ行きましょう。再発の場合のみ、市販薬での治療が可能です。病院の検査は痛みはなく数秒で終わります。我慢できない症状が出た場合は恥ずかしがらずに、病院へ行きましょう。軽い症状であれば、自然に回復していくこともあります。
カンジダ症は女性だと特に感染しやすく、再発することも多いため、日ごろの予防が大切です。バランスのよい食事をとるなど、免疫力を高めたり、性行為の際は避妊具をしっかりつけましょう。カンジダ症にならない、移さない行動が大切です。