
カンジダ症の原因と感染経路。なぜカンジダを発症するのか?
カンジダ症にかかってしまう原因は何でしょうか。カンジダ症にかかる原因はさまざまですが、なかでも最も多い原因・感染理由は自己感染です。体調不良による免疫力の低下などを原因に、身体から原因菌を追い出す力がなくなります。常在菌であるカンジダ菌が繁殖することによって、カンジダ症が発症します。
カンジダ症を引き起こすさまざまな原因や、カンジダが再感染する原因も含め、詳しく説明しましょう。
カンジダ症の原因は9割が自分自身!?
カンジダ症(性器カンジダ症・外陰カンジダ症・膣カンジダ症)の9割は、自己感染が原因となって発症します。「カンジダ=性病=性行為から感染」というイメージが強いためか、いまだに多くの人が、原因として性交相手からの感染を連想します。しかし実際には、性行為によってカンジダ症にかかる割合は非常に稀で、10%以下なのです。
外陰・腟カンジダ症の約5%は、性交感染が原因である。
カンジダ症は「カンジダ菌」というカビの一種に感染して起こります。カンジダ菌は健康な体であっても、体内に存在している「常在菌」です。普段は大人しくしていますが、様々な理由によりカンジダ菌があばれることで、カンジダ症を引き起こします。どのような状態になると、カンジダ菌があばれはじめ、自己感染してしまうのでしょうか。詳しく説明しましょう。
疲労やストレスによる免疫力の低下

カンジダ症を発症する原因のひとつは免疫力の低下です。過労や寝不足が続いていると体の中にある殺菌やウィルスを除去する力が低下します。そのため、免疫力が低下するとカンジダ菌が繁殖してしまい、カンジダ症を引き起こすのです。
抗生物質
抗生物質を服用すると、カンジダ症に感染する確率が高まります。抗生物質には、悪玉菌の増殖を抑え、菌が感染するのを防ぐ役割があります。ただし、抗生物質は悪玉菌の増殖を抑えるだけでなく、善玉菌の増殖を抑えてしまいます。善玉菌は免疫力を高め、私たちの健康を維持する大切な菌です。抗生物質を服用すると善玉菌まで退治してしまうため、カンジダ症にかかりやすくなるのです。
糖尿病
糖尿病にかかると、カンジダ症が発症する可能性があります。糖尿病は血管をボロボロにしたり、肝臓の機能を低下させるなど、体の免疫力を下げます。体の免疫力が低下すると、菌が繁殖しやすくなるため、カンジダ症になりやすいのです。
参考:カンジダとは|症状・感染のしくみ・検査 / STD研究所 性病の総合情報サイト
参考:産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2014 / 日本産科婦人科学会:PDF
自分以外の原因は他人からの接触感染
カンジダ症が発症する原因の9割は自己感染です。しかし、どうしても自己感染の可能性が低ければ、ひとからの感染を疑いましょう。ひとから感染する場合はほとんどありませんが、ゼロとは言えません。パートナーや家族にカンジダ症の患者がいた場合は、感染しないか心配ですよね。感染する行為と感染しない行為を知っておきましょう。
要注意!感染する行為

性行為からの接触感染
感染者と性行為(セックス・キス・オーラルセックス・アナルセックス)をすることによって、カンジダ症が感染する場合があります。ただし、性行為で感染する割合は20人に1人から10人に1人(5~10%)です。このように、性行為で感染する可能性は低いですが、免疫力が低下しているときはまれに感染するので、注意が必要です。コンドームを使用すれば、直接的な接触は避けられるので感染の予防になります。ただし、感染を100%防げるとは限らないので、カンジダ症に感染した場合は性行為を控えましょう。
また、男性は女性から感染しにくくなっています。女性と違って男性は性器が外部に出ているため、カンジダ菌が付着したとしても洗い流しやすいからです。ただし、絶対男性に感染しないとは言えません。
日常生活からの接触感染
日常生活の中で感染してしまう行為はタオルの使いまわしです。感染者とタオルを共有して使うのは控えましょう。タオルにカンジダ菌が付着し、そのまま自分に感染する恐れがあります。
安心して!感染しない行為

カンジダ症患者と一緒にお風呂屋やプールに入ると、感染するんじゃないかと、過剰に心配してしまいますよね。いっしょにお風呂やプールに入っただけでは、感染しないので安心してください。ただし、治療中に膣剤を入れたまま公衆浴場に入るのは辞めましょう。膣から膣剤が出てしまい、周囲に不快な思いをさせてしまいます。
カンジダ症にかかりやすいタイミングとは
カンジダ症になりやすいタイミングがあります。女性だと、妊娠中や生理中、生理前です。男性のカンジダ症にかかりやすいタイミングはこれといってありませんが、男女共有として言えるのが、疲労がたまったときです。なぜ、そのタイミングがカンジダ症にかかりやすいのか、それぞれ原因を詳しく見ていきましょう。
男女共通のタイミング
男女共通で言えるカンジダ症になりやすいタイミングは免疫力が低下したときです。うえで説明したように、免疫力が低下すると、抵抗力が弱まり、カンジダ症になりやすくなります。栄養のある食事ときちんとした睡眠を心がけましょう。
男性特有のタイミング
男性の場合、カンジダ症になりやすいタイミングはありませんが、男女共有して言えるのは免疫力が低下したときです。うえで説明したように、免疫力が低下すると、抵抗力が弱まり、カンジダ症になりやすくなります。
女性特有のタイミング
女性がカンジダ症になりやすいタイミングは、妊娠中や生理中、生理前です。原因は免疫力の低下や、生理周期による身体の変化などさまざまです。なぜカンジダ菌にかかりやすくなるのか、原因をさらに詳しく見ていきましょう。
妊娠中

妊娠中はカンジダ症になりやすくなります。妊娠してない女性がカンジダ症になる割合は約7人に1人から5人に1人(15~20%)に対して、妊娠中の女性がカンジダ症になる割合は、5人に1人から2.5人に1人です。(20~40%)です。妊娠中は通常の免疫力だと、赤ちゃんを異物と見なして攻撃をしてしまいます。そのため、妊娠中は免疫力が低下し、カンジダ症になりやすいのです。
参考:カンジダ膣炎・外陰炎について / ともこレディースクリニック
生理前
生理前はカンジダ症にかかりやすくなります。生理前はプロゲステロンが増加し、膣内が酸性になります。カンジダ菌は酸性を好むため、生理前はカンジダ菌が繁殖し、カンジダ症にかかりやすくなるのです。この時期はカンジダ症にかからないよう、栄養を摂ったり、免疫力を高めましょう。
参考:カンジダ膣炎・外陰炎について / ともこレディースクリニック
生理中
生理中はナプキンを使うため、陰部が常に湿度の高い状態になります。湿度の高い場所はカンジダ菌が発生しやすいため、生理中はカンジダ菌に感染しやすくなる。
のです。生理中はナプキンを頻繁に取り換え、清潔な状態を保ちましょう。
繰り返しカンジダ症に...再発する原因とは
カンジダ症は非常に再発率が高い感染症です。カンジダ症にかかった人の過半数が、何らかの原因によって再びカンジダ症に感染しています。なぜ、カンジダ症が繰り返されてしまうのでしょうか。その原因を詳しく見ていきましょう。
不規則な生活を送っている
不規則な生活を送っていると、再びカンジダ症にかかる可能性があります。カンジダ菌は私たちの体に常に存在している菌です。体調が乱れ、免疫力が低下するとすぐにカンジダ菌が悪さをし、カンジダ症を発症してしまいます。規則正しい生活を送れるように心がけましょう。
カンジダ症感染者と性行為
カンジダ症に感染している人とセックスをすると、再びカンジダ症にかかってしまいます。100%防ぐことはできませんが、セックスをする際はコンドームを使用しましょう。そうすることで、再びカンジダに感染する可能性が低くなります。
まとめ
カンジダ症にかかる主な原因は自己感染です。健康な状態でも私たちの体の中にはカンジダ菌が存在します。免疫力の低下や抗生物質の服用、糖尿病などさまざまな理由でカンジダ症は発生します。
特にカンジダ症は妊娠中や生理前、生理中に発生しやすくなります。この時期は、体調を崩さないよう、しっかり栄養と睡眠をとることが大切です。
カンジダ症は再発率が非常に高い特徴を持っています。不規則な生活を送っていたり、カンジダ症感染者とセックスをすると、すぐに再発します。再感染しないよう、感染する行動や生活は慎みましょう。