公開日
2017/02/23
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カンジダ症は「日本人女性の5人に1人が発症したことがある」というくらい身近な感染症です。カンジダ症は感染の可能性が高いだけでなく、一度かかってしまった場合、再発率も非常に高い感染症です。米国疾病予防管理センター(CDC)のHPに掲載されている「外陰・膣カンジダ症の治療ガイドライン」によれば、女性のうち75%は、少なくても1回は外陰・膣カンジダ症にかかります。さらに外陰・膣カンジダ症患者の40%〜45%は、2回以上の再発を経験しています。

カンジダ症は薬で治療する以前に、体調管理などを徹底することで予防できる感染症です。ポイントとしては自身の免疫力を高めること性行為の際に避妊具を付けること通気性のよい衣類を身に着けること局部を洗いすぎないことなどが上げられます。また、カンジダ症を予防する食品を意識して摂ることも大切です。それぞれ、予防できる理由も含め、詳しく紹介しましょう。

規則正しい生活で免疫力を高める

カンジダ症を予防するために栄養バランスの取れた食生活で免疫力をつける

カンジダ菌は私たちの体にもともとある常在菌です。免疫力が落ちるとカンジダ菌が増殖し、結果カンジダ症にかかってしまいます。そのため、常に免疫力を高めておくと、カンジダ症にかかりにくい体になるのです。免疫力を高めるためには、下のような行動を意識的に行うことが大切です。規則正しい生活を心がけることで、カンジダ菌の繁殖を防ぐことができます。

バランスのとれた食事

免疫力を高めるには、バランスのよい食事をとることが大切です。野菜類や肉類をとらず、甘いものや精選された炭水化物(白米、白いパン)を過剰にとることはNGです。カンジダ菌は糖分を栄養源にします。そのため、体内に糖分が多い状態になると、カンジダ菌が繁殖しやすくなるのです。適度な量で、バランスよく食べることを心がけましょう。

十分な睡眠

十分な睡眠は、リンパ球を増やし、免疫力を高めてくれます。リンパ球は白血球の一種で、病原体をやっつける働きがあります。そのため、リンパ球が活発に働けるよう、寝不足は避け、しっかりと睡眠をとりましょう。人によって違いはありますが、睡眠の最適時間は、1日7時間とされています。

ストレスを溜めない

ストレスは免疫力が低下する大きな原因です。ストレスを感じると自律神経が乱れ、副交感神経が、交感神経より下回ります。先ほど説明にでた、リンパ球は副交感神経によって支配されています。そのため、副交感神経が低下すると、リンパ球の働きも同時に弱まります。ストレスを溜めないことによって、リンパ球がきちんと働き、免疫力を高めてくれるのです。

適度な運動

適度な運動は免疫細胞を活発にし、免疫力を高めます。他にも適度な運動を行なうと、筋肉がついて体温が上昇するという利点があります。体温が1度上昇すると、免疫力は60%もアップします。30分間程度の運動など、適度な有酸素運動を毎日続けましょう。反対に、無理に激しい運動をするのは逆効果です。ストレスがたまり、免疫力を下げてしまう恐れがあります。

参考:女性の5人に1人が発症 腟カンジダの原因と対策をご紹介します / Doctors Me(ドクターズミー)

コンドームを付けて感染を防ぐ

カンジダ症の予防方法として性行為の時にはコンドームを使用する

性行為の際、コンドームなどの避妊具を付けることによって、性器同士の直接的な接触を避けることができます。そのため、パートナーから感染する可能性をぐっと減らすことができるのです。ただし、避妊具を付けたからといって100%防げるわけではありません。パートナーがカンジダ症にかかっていると知ったときは、性行為事体を控えましょう。

通気性のよい衣類で湿気を防止する

カンジダ症の予防には蒸れを防止するために通気性の良い服を着る

カンジダ菌は湿気の多い場所を好みます。そのため、通気性のよい衣類を身に着けることによって、カンジダ菌の繁殖を防ぐことができます。化学繊維(ポリエステル・ナイロンなど)の生地は避け、通気性と吸収性に優れた植物繊維(綿・麻など)を使用している衣類がおすすめです。また、ジーンズやガードルなど、体にぴったり張り付くようなデザインは湿度が高まります。ゆったりとしたデザインの衣類を選びましょう。

局部は適度に洗う

カンジダ症の予防方法として局部を弱酸性の石鹸で適度に洗う

カンジダ症の予防として、局部を清潔に保つことはもちろん大切ですが、局部を必要以上に洗ってはいけません。かえってカンジダ症にかかりやすくなったり、痒みが増したりしてしまいます。

女性の場合、細菌や、カンジダ菌の仲間である真菌が入らないように、膣内は常に酸性で保たれています。しかし、石鹸やボディーソープで膣内を必要以上に洗うと、膣内の酸性が弱まり、細菌や真菌に感染しやすくなるのです。局部はゴシゴシと洗わずに、適度な加減で洗いましょう。

また、カンジダ症に繰り返しかかってしまう人は、デリケートゾーン専用の石鹸がおすすめです。通常の石鹸はアルカリ性でできているため、過剰に洗うと、膣内の酸性が弱まってしまいます。しかし、デリケートゾーン専用の石鹸は弱酸性でできているため、膣内を酸性の状態に保ちやすくするのです。デリケートゾーン専用の石鹸は薬局やドラッグストアで気軽に購入ができます。

参考:石鹸での洗い過ぎはなぜダメなの? 膣カンジダの原因と対策は? / Doctors Me(ドクターズミー)

カンジダ菌の繁殖を阻止する食材を摂取する

カンジダ症はヨーグルトやシナモンなどの食品で予防することができます。それらの食品は、カンジダ菌の繁殖や発育を抑える働きがあります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

ヨーグルト

カンジダ症は乳酸菌を摂取することで予防できます

ヨーグルトなどの乳酸菌が含まれた発酵食品は、カンジダの発症を抑えられることが報告されています。乳酸菌はカンジダ菌(菌糸)に付着し、カンジダ菌同士がくっついて繁殖するのを防ぎます。そのため、乳酸菌が含まれたヨーグルトや乳酸菌飲料はカンジダ症の予防になるのです。ただし、腸内環境の状態によっては、プロバイオティクス(乳酸菌製剤やヨーグルトなど)や、プレバイオティクス(オリゴ糖など)が善玉菌の餌になることがあります。つまり人によってはヨーグルトによってカンジダ症が悪化する可能性があります。かかりつけの医師に相談したうえでヨーグルトを摂取したほうがよいでしょう。

参考:カンジダ菌について / かわせカイロプラクティック

シナモン

シナモンには、カンジダ菌の発育を阻止する働きがあります

シナモンには、カンジダ菌の発育を阻止する働きがとても強い食品です。シナモンはシンナムアルデヒドという殺菌作用のある成分が含まれています。そのため、シナモンはカンジダ症の予防によいのです。シナモンの有効的な摂り方は、50℃程度の温度でシナモンティーを飲むことがおすすめです。この摂り方が一番カンジダ菌の発育抑制に効果があるとされています。

参考:口腔カンジダ症に対して改善効果が期待される機能食品 / 帝京大学医真菌研究センター:PDF

参考:カンジダ菌による健康被害から身を守るためには / 大和薬品株式会社

まとめ

カンジダ症は5人に1人が感染したことある身近な感染症です。また、再発率も非常に高く、一度感染した人のほとんどが再発を経験しています。

予防法としては、免疫力を高めること、性行為の際は、コンドームなどの避妊具を使用することです。また、通気性のよい衣類を着たり、カンジダ菌が好む湿気を避けたり、膣内の酸性を保つため、局部を必要以上に洗ったりしないことです。食品では、ヨーグルトやシナモンがカンジダ症の予防に効果的です。それぞれ、カンジダ菌の繁殖や発育を抑制する働きがあります。

カンジダ症に感染しないためにも、予防方法を習慣づけるようにしましょう。

参考:腟カンジダ(カンジタ)ってどんな症状? | メディトリート / 大正製薬

参考:Vulvovaginal Candidiasis - 2015 STD Treatment Guidelines / CDC:英語