公開日
2017/03/28
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「エンペシドを使用すると、副作用がでる?」「妊娠中だけどエンペシドを使用してもいい?」など、エンペシド(クリーム・膣錠)の使用に関して、疑問や不安を感じたことはありませんか?エンペシドはどのような副作用があるのか、エンペシドを使用するときの注意点などを詳しく説明しましょう。

エンペシドで副作用がでる人は2%以下

クロトリマゾールを主成分とするエンペシド(クリーム・膣錠)を使用すると、皮膚が赤くなったり、刺激を感じたりと、副作用があらわれることがあります。

エンペシド(クロトリマゾール)を利用して副作用が出る人の割合は、せいぜい2%程度です。

具体的には、エンペシド・クリームを使用して副作用を訴えた人の割合は、1.91%(承認時の調査症例6,849例中131例)。エンペシド・膣錠を使用して副作用を訴えた人の割合は1.11%(承認時の調査症例5,771例中64例)でした。ただ、ここでクロトリマゾール単体における副作用の発現頻度の大小を論じ合ってもあまり意味がありません。

カンジダ症の治療薬(膣錠・腟坐剤)として、性感染症学会のガイドラインに記載されている医薬品は4種類(エンペシド膣錠・フロリード腟坐剤・バリナスチン膣錠・オキナゾール硝酸塩)あります。エンペシド膣錠を含む4種類の薬剤について、副作用の発現頻度を見比べてみましょう。

一般名 成分量 商品名 副作用の発現頻度 調査症例数 副作用の発現数
クロトリマゾール 100mg エンペシド腟錠 1.11% 5771 64
ミコナゾール硝酸塩 100mg フロリード腟坐剤 0.19% 8075 15
イソコナゾール硝酸塩 100mg バリナスチン腟錠 0.27% 368 1
オキシコナゾール硝酸塩 100mg オキナゾール腟錠 0.37% 6995 26

日本性感染症学会のガイドラインに記載されている、外陰腟カンジダ症を腟錠・腟坐剤によって連日治療する場合、薬剤はクロトリマゾール・ミコナゾール・イソコナゾール・オキシコナゾールの4種類があります。

いずれの薬剤も利用方法は同じで、成分含有量100mgの錠剤を、1日1錠ずつ6日間挿入します。副作用の発現頻度(添付文書による)は、クロトリマゾールが最も高く1.11%、オキシコナゾール硝酸塩が最も低く0.19%でした。

あくまで添付文書の単純比較にはなりますが、カンジダ治療に用いられる膣錠・腟坐剤のなかで、エンペシド膣錠(クロトリマゾール)は副作用の発現頻度が高く出る傾向がありました。

とはいえ、副作用があらわれる割合も2%未満なうえに、症状も皮膚の表面で感じる程度の軽度なものがほとんどです。エンペシド・クリームや膣錠の副作用に関しては、過度な心配は無用でしょう。続いて、副作用の詳しい症状について説明します。

副作用はどんな症状があるの?

エンペシド(クリーム・膣錠)はそれぞれどのような副作用が出るのでしょうか。症状としては、ヒリヒリとした痛みがあったり、患部に熱を感じることがあります。クリーム、膣錠それぞれの副作用の症状と発症する割合を詳しく説明しましょう。

エンペシド・クリームの副作用

エンペシド・クリームの副作用の症状にヒリヒリとした刺激のある痛みがあります

エンペシド・クリームの副作用で一番多い症状はヒリヒリとした刺激のある痛みです。その他にも、皮膚に熱感や湿疹が発生する皮膚炎を起こします。また、皮膚が赤くなる発赤(はっせき)や、赤い斑点ができる紅斑(こうはん)を発症します。他にも、皮膚がただれたり、皮膚が赤く膨らむ丘疹(きゅうしん)も発症することが報告されています。

副作用の症状 発症する割合
ヒリヒリとした痛み 0.80%
皮膚炎 0.21%
発赤(はっせき)紅斑(こうはん) 0.48%
ただれ 0.06%
丘疹(きゅうしん) 0.04%

エンペシド・膣錠の副作用

エンペシド・膣錠の副作用で一番多い症状は膣内の熱感です。膣内に感じる症状としては、他にも、ヒリヒリとした痛みや、痒み、皮膚が赤くなる発赤(はっせき)、ズキズキとした痛みがある疼痛(とうつう)があります。皮膚に出る症状としては、小さいブツブツができる発疹(はっしん)があります。

膣内に感じる症状

副作用の症状 発症する割合
熱感 0.73%
ヒリヒリとした痛み 0.23%
痒み 0.12%
発赤(はっせき) 0.12%
疼痛(とうつう) 0.10%

皮膚に出る症状

副作用の症状 発症する割合
発疹(はっしん) 頻度不明

参考:エンペシド膣錠100mg インタビューフォーム / バイエル薬品株式会社:PDF

参考:エンペシドクリーム1% インタビューフォーム / バイエル薬品株式会社:PDF

副作用が出たら、治療は一旦ストップして

エンペシドを使用している間に副作用が出た場合は、一旦治療をストップしましょう。我慢をして、治療を続けても逆効果です。すぐに医師に相談しましょう。

こんな人は治療する前に医師へ相談を

エンペシド(クリーム・膣錠)はすべての人が使用していいわけではありません。妊婦や授乳婦、エンペシドで以前に副作用が出た人は使用する前に医師へ相談しましょう。

妊娠中のエンペシドクリームの使用は注意が必要です

妊婦・産婦・授乳婦

妊婦や産婦、授乳婦はエンペシド(クリーム・膣錠)を使用する前に、医師へ相談しましょう。

通常は、薬の成分が血流に吸収されることはほとんどありません。そのため、薬の成分がお腹の赤ちゃんに届いたり、産前・産後すぐの体や母乳に影響を及ぼす可能性は低いでしょう。

ただし、妊娠中や出産直前・直後、授乳時の使用に関する安全性はまだはっきりと分かっていません。妊婦、産婦、授乳婦は、エンペシドを使用する前に必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

エンペシドを使って副作用が出た経験がある人

以前、エンペシドを使って副作用の症状が出た経験がある人はエンペシドを使用する前に医師へ相談しましょう。再びアレルギーを起こし、症状が悪化する恐れがあります。

他の薬との併用は注意して

エンペシドクリーム・膣錠は他の医薬品と併用しても問題はないと考えられています

エンペシド(クリーム・膣錠)は他の医薬品と併用しても、基本的には問題ないと考えられています。ただし、薬によってはお互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もあります。エンペシドと他の薬を併用して使用する場合は、医師に相談しましょう。

また、エンペシド・クリームを塗ったあとすぐに、同じ範囲に他のクリームや軟膏、ローション(保湿剤や化粧品を含む)を塗ることは控えてください。エンペシドを塗ってすぐに、同じ範囲に塗ると、他の薬などがエンペシド・クリームの効果を下げてしまう可能性があります。同じ範囲に塗りたいときは、30分間時間を置いてから塗りましょう。

参考:Canesten 1%クリーム(クロトリマゾール) / netdoctor:海外サイト

まとめ

エンペシド(クリーム・膣錠)を使用すると、副作用が出る場合があります。ただし、副作用が出る人はごく稀です。エンペシドを使用した人の中で、副作用を訴えた人の割合は2%以下です。

副作用の症状としては、ヒリヒリとした痛み、熱感、痒みなどがあります。このような症状が出た場合は、すぐに医師へ相談してください。

妊娠中や出産直前(直後)、授乳中にエンペシドを使う際は、医師に相談しましょう。また、エンペシドを使用中、他の薬を併用して使う場合も医師への相談が必要です。基本的に影響を及ぼすことはないと考えられていますが、薬によってはお互いの作用を強めたり弱めたりする可能性もあります。エンペシドの副作用、注意点をしっかり把握し、安全に使用しましょう。