公開日
2017/03/03
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性器クラミジア感染症は、日本で最も感染者数の多い性感染症(STD)です。感染者数は多いものの、男女とも発症しても症状が出にくく、多くの人が気づかないうちに感染しています。症状が悪化する前に、疑わしい場合は検査を受けましょう。

では、クラミジアに感染したときに何科の病院に行くのか、検査方法はどのようなものかをご紹介していきます。また、気になる検査と治療の費用、クラミジアに感染しないための予防法などもあわせてみていきましょう。

クラミジアは何科の病院に行けばいい?

クラミジアに感染したら性感染症の専門である性病科を受診しましょう

性器クラミジア感染症にかかったら、何科の病院を受診すればよいのでしょうか。クラミジアの検査や治療が受けられる病院をあげます。

  • 性病科
  • 泌尿器科
  • 婦人科
  • 産婦人科(妊婦)
  • 耳鼻咽喉科(咽頭感染)

まずは性感染症の専門である性病科が最初にあげられます。それ以外の病院では、男性は泌尿器科、女性は婦人科へ行くとよいでしょう。妊娠、出産の予定がある場合は産婦人科へ行きましょう。ノドにクラミジア感染が疑われる場合、耳鼻咽喉科でも検査ができます。検査を受けるのが恥ずかしいという人のために、病院によっては匿名で受診できます。事前に病院のホームページや電話で確認してみましょう。また、クラミジアの検査は保健所でも匿名で受けられます。

自宅で手軽に検査ができる「検査キット」

病院や保健所に行かずに検査をできるのは、郵送の検査キットです。薬局では検査キットを販売していないので、通販で購入します。検査キットの利点は、自宅で手軽に検査ができることです。病院に行くのが恥ずかしい、病院へ行く暇がないという人でも、自分の好きなタイミングで検査ができます。しかし検査結果の信頼度は、病院などの医療機関と比べるとお世辞にも高いとはいえません。できるかぎり病院か保健所で検査を受けましょう。

検査方法や検査期間はどれくらい?

クラミジアに感染しているかどうかは検査によって診断します。実際に病院や保健所へ行ったとき、どのような方法で検査をするのでしょうか。また、どのような人が検査を受けるべきなのでしょうか。

クラミジアに感染しているかどうかは検査によって診断

クラミジアに感染しやすい人って?

性行為をすれば、誰にでもクラミジアに感染するリスクはあります。なかでも、特に検査を受けておくべきなのは以下に当てはまる人です。

  • 性的に活発な25歳以下の女性
  • 妊娠中の女性
  • 無防備なセックスをする女性と男性

まず、クラミジアに感染しやすいのは、25歳以下の性的に活発な男女です。女性は男性よりも感染者数が多いうえに症状もあらわれにくいため、特に検査が必要です。次に、妊娠中の女性は出産に影響を及ぼす恐れがあります。クラミジアに感染していると、早産や流産、母子感染の危険性があるのです。妊婦さん自身も新生児も危険にさらされるので、出産前には検査を受けるべきでしょう。最後に、「無防備なセックスをする女性と男性」とは、コンドームなしでセックスをする人のことです。オーラルセックスやアナルセックスも例外ではありません。コンドームを使用しないセックスは、クラミジアに感染するリスクを高めます。

上記の3つにあてはまる人は、症状がなくても一度検査を受けておきましょう。

検査方法

クラミジアの検査をするとき、採取するのは以下のものです。

クラミジアの検査は尿などの分泌物を採取します

検査方法は男女で違います。男性の場合は初尿(出し初めの3分の1から2分の1の尿)をとります。女性は子宮頚管の中に器具を入れ、綿棒で分泌物(おりもの)をとります。男女共通であるのが咽頭のクラミジア感染です。ノドの検査をおこなう場合は、うがい液をとって検査します。子宮頚管とノドの検査では擦過物(さっかぶつ)といって、粘膜をこすりとったものを使う場合もあります。

女性のクラミジア検査…痛い?

女性の検査は器具を使うため、多くの女性が「もしかして痛いの?」と不安になるのではないでしょうか。実際のところ痛みはそれほどなく、少し違和感を感じる程度です。激痛を感じるようなものではないので心配はいりません。また検査の時に生理中であると、採取するおりものに経血が混じってしまいます。正しく検査できない場合があるので、経血が多いときは時期を遅らせましょう。

そして特に女性は、性器とともにノドのクラミジア検査もすべきです。その理由は以下、引用文でご説明します。

子宮頸管からクラミジアが検出される場合は、無症状であっても 10~ 20%は、咽頭からもクラミジアが検出される10)。

女性は子宮頚管にクラミジアが感染していると、そのうち10%から20%はノドにも感染しているのです。クラミジアの検査をするときは、性器とノドを同時に受けておきましょう。

検査を受けられるタイミングと検査結果

クラミジアにかかっても、検査で菌が見つけられるようになるまで少し時間がかかります。そのため、性行為があった次の日に病院で検査をしても、正しい結果が出ません。たとえクラミジアに感染していても、菌が検出できるほどの量でなければ陰性が出てしまうのです。その期間は潜伏期間とは全く別で、症状が出ていなくても検査はできます。クラミジアの潜伏期間は1週間から3週間ほどですが、感染してから3日ほど経てば検査は可能です。 検査結果が出て診断されるまでの期間は最短で即日、長くても1週間程度です。

クラミジアの血液検査

上記のような方法ではなく、血中の抗体を検査する方法もあります。これは抗体ができるまでに時間がかかるため、あまりおこなわれていない検査です。そして血液検査で抗体を見つける方法では、一度感染したことがあれば陽性になります。つまり、クラミジアが治っていても陽性反応が出るのです。保健所の血液検査で陽性が出ても、病院で検査をしたら陰性といわれることもあります。これは検査方法が違うことが原因です。

血液検査をする理由は?

血液検査をおこなう目的は、女性の卵管や卵巣にクラミジアが進行していないかを確認するためです。クラミジアが女性器の奥に進行していると、子宮頚管の検査だけでは正確な結果が出ない場合があります。女性は無症状でクラミジアが悪化してしまうことが多いので、特に詳しい検査が必要なのです。

検査キット

通販で検査キットを購入して使う場合、自分で検体をとります。基本的に、必要な検体は病院で採取するものと変わりません。郵送で送られてきたキットで検体をとり、もう一度郵送で送り返して結果を待ちます。多くの検査キットは、ノドのクラミジアや淋菌感染症など、色々な性感染症のキットがセットになっています。検査にかかる期間は1週間前後です。

検査や治療にかかる費用は?

病院でクラミジアの検査と診察を受けると3,000円前後かかります

ここまではクラミジアの検査方法などをご説明しました。では、検査や診察にかかる費用はどの程度なのでしょうか。病院によっても差はありますが、目安となる費用をリストで見てみましょう。

病院でクラミジアの検査と薬代で5,000円前後かかります。

病院での検査・治療費

病院で検査と診察を受ける場合、保険適用で3,000円前後です。薬代は1週間で2,000円前後です。ノドやほかの性感染症も同時に検査する場合、費用は約2倍になります。自費診療は費用が高い分、保険適用ではできない検査方法や治療もおこなうことができます。いくつかの性感染症の検査を同時に受けるとパック料金になり、別々に受けるよりも費用が抑えられます。

保健所の検査は無料?

保健所で検査を受ければ無料で済みますが、陽性反応が出ても治療はできません。保健所によってはHIV以外の検査は数百円かかる場合があります。保健所での検査は、HIV検査を必須で受けなければなりません。

検査キットの費用は?

検査キットを使用すると、費用は5,000円から8,000円程度です。クラミジアだけで販売している検査キットは少なく、ほとんどの検査キットがほかの性感染症とセットになっています。複数の性感染症の検査を、手軽に受けられるのが検査キットの利点です。しかし、検査キットも保健所と同様、陽性が出てもそのまま治療ができません。検査後の治療のことを考えると、病院へ行くことをおすすめします。

検査費用や治療費は大まかな目安です。病院によって検査費用は異なりますし、検査キットの値段も購入先によって異なります。まずはインターネットで確認してみると良いでしょう。

クラミジアの予防法

クラミジアの検査方法や治療する医療機関について見てきましたが、そもそもクラミジア(クラミジア・トラコマチス)に感染しないに越したことはありません。最後に、クラミジアに感染しないための予防法も知っておきましょう。

クラミジアの予防にはコンドームを使用しましょう

無防備なセックスをしない

上記したように、無防備なセックスはクラミジアに感染するリスクを高めます。コンドームの使用は、クラミジアを含む性感染症の代表的な予防法です。オーラルセックスやアナルセックスでは避妊を意識しないため、コンドームの使用がおろそかになります。また、同時に複数のパートナーと性行為をおこなうことも、クラミジアに感染するリスクを高めることになります。そうした無防備なセックスがクラミジアの感染拡大につながるので、意識して避けなければなりません。

検査を定期的に受ける

クラミジアに感染しても、すぐに気づくことができれば、症状は悪化しません。また、別のパートナーに感染させてしまう前に気づくことで、感染の拡大を防げます。クラミジアは感染しても、自覚症状がほとんどない性感染症です。知らないうちに感染してる場合もあるので、性行為の経験があれば定期的に検査すべきでしょう。

女性は膣洗浄のしすぎに注意

女性は男性と違い、性器が内側にあり、ほとんどが粘膜です。そのため、男性よりもクラミジアに感染しやすいのです。膣洗浄は大切ですが、過度に洗いすぎると良い菌まで死んでしまいます。膣は良い菌に守られているので、膣の中まで石鹸やボディソープで洗うのはやめましょう。入浴中は、ぬるま湯のシャワーで適度に洗浄してください。

まとめ

性器クラミジア感染症が考えられる症状を感じたら、まず病院で検査を受けましょう。クラミジアに感染するリスクが高い人は、症状がなくても一度検査を受けるべきです。費用を抑えたい人は保健所、忙しい人には検査キットがおすすめです。正しいタイミング、正しい方法で検査しなければ、間違った結果が出てしまう場合もあります。検査を受ける際は注意しましょう。

検査方法だけでなく予防も意識し、クラミジアに感染しないようにしましょう。