公開日
2015/12/14
更新日
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性器ヘルペス(単純ヘルペス感染症)ってどんな病気?

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)に感染することによって引き起こされる性行為感染症です。ウイルスには2つのタイプがあり、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)と呼ばれています。

単純ヘルペスウイルス1型が引き起こす病気で最も有名なものが、口の周りや唇に出る口唇ヘルペスです。

口の周りや唇の一部が赤くなると口唇ヘルペスの前ぶれです。しばらくするとその上に水ぶくれができて、かゆみやほてり、痛みを感じるようになります。

これまでHSV-1は上半身に感染するため口唇ヘルペスの原因に、HSV-2は下半身に感染するため性器ヘルペスの原因にされていました。しかし近年では性行為の多様化により、特に若年層で性器からHSV-1がみつかることも少なくありません。

単純ヘルペスウイルスの感染による病気

ウイルス 軽症・中等症 重症
HSV-1
  • ヘルペス性歯肉口内炎
  • 口唇ヘルペス
  • 顔面神経麻痺
  • カポジ水痘様発疹症
  • 性器ヘルペス(急性型)
  • 角膜ヘルペス
  • ヘルペス性ひょう疽
  • 網膜炎
  • ヘルペス脳炎
  • 髄膜炎
  • 新生児ヘルペス
  • 汎発性ヘルペス
HSV-2
  • 性器ヘルペス(再発型)
  • 殿部ヘルペス
  • ヘルペス性ひょう疽
  • 網膜炎
  • 新生児ヘルペス
  • 髄膜炎
  • 壊死性脊髄炎
VZV
  • 水痘
  • 帯状疱疹
  • 顔面神経麻痺
  • 新生児水痘
  • 髄膜炎

HSV-2は再発傾向が強い

ヘルペスウイルスの発症には、HSVに初めて感染した時と、すでに感染して潜伏していたHSVが活性化する時との2通りがあります。

単純ヘルペスウイルスの感染
出典:単純ヘルペスウイルス感染症 / 23章 ウイルス感染症 / あたらしい皮膚科学 / 清水宏(北海道大学)著:PDF

HSV-2が性器に初感染すると、ウイルスは神経を伝って腰の神経(腰仙骨神経節)に潜みます。ここで一旦冬眠のような状態になるため、症状はおさまります。HSV-2への初感染では、90%の患者が感染したのに症状があらわれない(不顕性感染)といわれています。

身体に疲れがたまる、精神的なストレスを受けるなど、体の免疫力が低下すると、潜伏していたヘルペスウイルスは冬眠から覚め、再び活動を始めます。

腰から神経を伝って皮膚や粘膜にあらわれ、水ぶくれや湿疹といった症状を引き起こすのです。

初めて感染したときに比べ、再発したヘルペスは軽い症状がほとんどです。また時間が経てば経つほど、あらわれる回数自体も減っていきます。

どのくらいの人が性器ヘルペスに感染しているの?

2012年に算出された性器ヘルペス(HSV-2感染症)の患者数は、世界中で推定4億人です。地域ごとの割合は、アフリカ(31.5%)が最も高く、続いてアメリカ(14.4%)が高くなっています。毎年およそ2000万人の人が新たにHSV-2に感染していると推定されています。

日本国内の性器ヘルペス(HSV-2感染症)の患者数は、年間で7万2000人と推定されています。

性器ヘルペス感染症の年齢別発生状況(2014年)

性器ヘルペスウイルス感染症の年齢別発生状況のグラフ(2014年)
出典:2014年(平成26年) / 年齢(5歳階級)別にみた性感染症(STD) 報告数の年次推移 / 性感染症報告数 / 厚生労働省

日本国内の性器ヘルペス(HSV-2感染症)の患者データを詳しくみてみましょう。男女ともに20歳以上になると患者数が急増します。女性は25歳から29歳、 男性は35歳から39歳でピークがみられます。

どの年代でも男性より女性の感染者数が多く、女性の方がかかりやすい病気といえます。女性の患者数のピークの方が、男性のピークよりも5歳から10歳ほど早くなっています。患者数は50歳以上になっても大きくは減らず、65歳以上まで横ばいになっています。

性器ヘルペス、口唇ヘルペスにはどうやって感染するの?

単純ヘルペスには、どこから、どうやって感染するのでしょうか?

HSV-1はキス

キスをする直前のカップル

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の代表的な感染経路は口(キス)です。口唇ヘルペスやヘルペス性歯肉口内炎などのウイルスに汚染された口腔や皮膚、粘膜に接触して病原体が付着、口から体内に侵入することで感染します。

HSV-1はオーラルセックス(口や舌を使って相手の性器を刺激する行為、フェラチオ、クンニリングス、アニリングスなど)によって、口から性器に感染が広がります。HSV-1でも性器に感染すれば、性器ヘルペスとして症状があらわれます。

HSV-2は性行為

性行為をする直前のカップル

単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)は、膣性交やアナルセックスによって感染します。

HSV-1が口から性器に感染して性器ヘルペスを引き起こすのと同じように、HSV-2も性器から口に感染することがあります。このときは口唇ヘルペスやヘルペス性歯肉口内炎として症状があらわれます。性器ヘルペスの3割ほどはHSV-1が原因と考えられています。

HSV-2は無機物の表面上では長く生存ができないので、便座や浴槽などからは感染しません。

性器ヘルペスはどうやったら防ぐことができるの?

単純ヘルペスウイルスに感染した部位をコンドームなどで完全に覆い隠すことができるれば、あなたやあなたのパートナーへの感染を防ぐことができます。性行為の際は必ずコンドームを使用しましょう。

性器や肛門付近に赤いブツブツや水ぶくれなどの病変が見られる場合、なるべく性行為を避けるようにしましょう。パートナーの口や唇に痛みがある場合も同様です。患部だけでなく唾液にもウイルスは含まれるため、キスやオーラルセックスは避けるようにしましょう。

また実際に水ぶくれなどの症状が出ていないときでも、性器の皮膚や粘膜の表面にヘルペスウイルスが出てきて、パートナーに感染することもあります。