
尖圭コンジローマの症状はイボ!性器周辺にイボが密集
尖圭コンジローマは、クラミジア、ヘルペス、淋病に次ぎ、国内で4番目に患者数が多い性感染症です。尖圭コンジローマに感染するとどんな症状が出るの?男女で症状に違いはあるの?など、尖圭コンジローマの症状について詳しくお話しします。
主な症状はイボ
尖圭コンジローマは感染後、感染部位にイボがあらわれます。
イボの大きさは、数ミリから数センチと様々です。色は白や赤、うすピンク、褐色や黒などです。イボは表面にざらつきがあり、乳頭状の形をしています。イボの形状は、「ニワトリのトサカ」や「カリフラワー」にも例えられます。
多くの場合、こうしたイボは感染部位に密集して発生します。上の画像のように、陰部にイボが密集してあらわれると、歩行時などに違和感を覚えます。尖圭コンジローマはイボが出る以外、特に目立った症状はあらわれません。多くの場合、イボが増えてから違和感を覚えることで、やっと感染に気付きます。初期症状から激しいかゆみを伴うこともないため、発見が遅れがちな性病の一つです。
HPVウイルスの潜伏期間は、短くて3週間から、長ければ8か月とされてます。尖圭コンジローマとして発症するタイミングは、平均すると2.8か月です。
参考:性感染症 診断・治療 ガイドライン2016 / 日本性感染症学会:PDF
男女の違いは症状(イボ)ができる部位
基本的に、「イボが出る」という症状は男女ともに共通しています。
男性と女性で違うのは、イボがあらわれる箇所(感染部位)です。それぞれの詳しい感染部位について見ていきましょう。
男性の症状・イボができるところ
男性の主な感染部位は以下の通りです。
- 亀頭
- 冠状溝(亀頭と陰茎の間にあるみぞ)
- 尿道付近
- 包皮(内側、外側)
- 陰嚢(いんのう)
- 肛門付近(または肛門内)
- 口内
男性の場合、主に陰茎を中心としてイボが発生します。症状を放置すると、陰茎の先端を覆うようにイボが発生してしまい、排尿や射精が困難になってしまう恐れもあります。
また尖圭コンジローマの場合、イボ自体には痛みやかゆみを感じないことが多いです。まれに尖圭コンジローマによって発生したイボでも、痛みやかゆみを伴うこともあります。イボができる、痛みやかゆみがある、といった症状を見逃さず、早めに病院へ行きましょう。
女性の症状・イボができるところ
女性の主な感染部位は以下の通りです。
- 大陰唇
- 小陰唇
- 膣(入口、または内部)
- 子宮頚部
- 尿道付近
- 肛門付近
- 口内
女性も男性同様、主に陰部を中心としてイボがあらわれます。女性は男性よりも、日常で自身の性器を見ることが少ないため、病気の発見が遅れる傾向にあります。
また、イボが膣の周辺だけではなく、膣の内部にまで発生することもあります。膣の内部にあらわれるイボは、外側からは見えないため、症状を確認するのがより困難です。女性は男性と比べても自覚症状が乏しいので、少しでも性器に異変を感じたらすぐに受診しましょう。
尖圭コンジローマに似た病気・フォアダイスとの見分け方
尖圭コンジローマとよく似た症状として、フォアダイスというものがあります。
フォアダイスとは、主に男性の陰茎にあらわれる、イボやブツブツした突起物のことです。
基本的に男性に多く見られる症状ですが、まれに女性の膣周辺や、男女ともに口内の粘膜などにもあらわれることがあります。
尖圭コンジローマとは異なり、フォアダイスは病気ではありません。フォアダイスは生理現象であり、症状があらわれても治療する必要は一切ないのです。ただし、自然にイボやブツブツがなくなることはないため、見た目が気になる場合は外科手術によって取り除くことができます。
このように、健康に害は及ぼさないフォアダイスですが、いかんせん尖圭コンジローマと症状の見た目が似ています。フォアダイスだろうと思い込んでいて、実は尖圭コンジローマだった、ということがあっては早期発見の妨げとなってしまいます。
以下、尖圭コンジローマとフォアダイスの主な違いをまとめました。
尖圭コンジローマ | フォアダイス | |
---|---|---|
イボの色 | ピンク、褐色、黒、白など | 白 |
イボの大きさ | 数ミリから数センチなど | 1~3ミリ程度 |
イボ表面の様子 | ざらざらしている | 表面はなめらか |
発症する部位 | (男性の場合)陰茎全体や肛門周辺 | (男性の場合)陰茎の、特に亀頭溝(カリ首) |
イボの形がいびつであったり、大きさが不揃いであったり、赤みがかったりしている場合は、フォアダイスではなく尖圭コンジローマである可能性が高いです。フォアダイスか尖圭コンジローマか判断がつかない場合は、速やかに医師に相談しましょう。
尖圭コンジローマを放置するとイボが悪化
性感染症である尖圭コンジローマ。症状に気が付いたらすぐ治療に取り掛かるべきですが、もし症状を放置したらどうなってしまうのでしょうか。

尖圭コンジローマは放置すると、イボの状態がどんどん悪化してしまいます。イボの数も増え、肥大化も進み、下着やズボンにすれると出血するなど、日常生活にも支障をきたします。
先ほども少し触れましたが、男性の場合、症状が進行するとイボが陰茎を覆って排尿や射精が困難になります。女性の場合には、感染中に妊娠・出産すると、赤ちゃんにも尖圭コンジローマを感染させてしまう恐れがあります。
また、イボの原因が尖圭コンジローマだとは思わずに、感染中にもかかわらずパートナーと性交渉を行ってしまう危険性もあります。自分の性器や口内にイボができている場合はもちろん、パートナーにイボができているのを確認した場合にも、性交は控えましょう。お互いに感染させてしまう前に、パートナーと一緒に検査を受け、治療することが大切です。
まとめ
尖圭コンジローマは、感染部位にイボができる性感染症です。
男性なら陰茎や肛門周辺、女性なら膣周辺や肛門などに、数ミリから数センチほどのイボがあらわれます。このイボは放置すると次第に数を増やし、また大きくもなっていくため、衣類にすれると出血することもあります。
イボを放置していても、男女ともに自然治癒することはありません。症状に気が付いた場合は、なるべく早めに病院で検査を受けましょう。