公開日
2017/04/06
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感染すると、陰部や口内にたくさんのイボができてしまう病気、尖圭コンジローマ。治療法は、大きく分けて薬物療法と外科療法の2つがあります。それぞれの治療法はどんなもの?治療費はどれくらい?などなど、尖圭コンジローマの治療に関する情報をご紹介します。

尖圭コンジローマの治療は「薬」か「手術」

尖圭コンジローマを治療する方法は、2つあります。1つは薬物療法、もう1つは外科療法です。薬物療法は患部に塗り薬を塗る治療法、外科療法は手術によってイボを取り除く治療法です。それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。

薬物療法

尖圭コンジローマの治療に使われる薬は、ベセルナクリーム5%です。主成分はイミキモドで、薄い黄色の混ざった白色のクリーム剤です。

ベセルナクリーム5%

ベセルナクリームを塗ると、ウイルスに対する免疫力が高められ、結果としてウイルスの増殖を抑えることができます。1袋あたりの薬価は1,168.50円です。ベセルナクリームが2週間分処方された場合の金額は2,000円ほどです。(健康保険適用の場合)

ベセルナクリームの使い方

ベセルナクリームは週に3日、1日1回、就寝前に塗ります。クリームを塗布したあと、6~10時間は安静にしてその状態を保たなければならないため、必ず就寝前に塗るようにしてください。月・水・金、または火・木・土といった1日おきのサイクルで塗りましょう。

クリームはイボだけに薄く塗り、見えなくなるまでしっかりと患部にすりこんでください。塗り終えた後は、しっかりと手を洗いましょう。

クリームを塗ったら、絆創膏やテープで患部を覆わず、そのままの状態にしてください。起床後(薬の塗布から6~10時間後)、塗布したクリームは石鹸を使い、水かお湯で必ずきれいに洗い流しましょう。

ベセルナクリームを塗る際の注意事項

ベセルナクリームは、毎日塗ってはいけません。連日塗ると、皮膚に重い副作用があらわれる恐れがあります。必ず1日おきの塗布を守ってください。

クリームを塗る際は、患部周辺の健康な皮膚にクリームがつかないよう注意しましょう。陰部付近の健康な皮膚にクリームがついてしまうと、その部分が痛んだりむくんだりして、排尿がしづらくなってしまうこともあります。

また起床後、クリームの洗浄は忘れず行ってください。この洗浄を忘れ、クリームをそのままにしておくと、のちのち重篤な皮膚障害を引き起こしかねません。気を付けましょう。

どんな副作用があるの?薬の副作用はあるの?

ベセルナクリームを塗ったあと、以下のような症状が出る場合もあります。

  • 皮膚のただれ
  • 皮膚の赤み
  • 潰瘍
  • 表皮のめくれ
  • かゆみ
  • 発熱
  • 寒気 など

これらの症状が出た場合は、ただちにクリームを洗い流し、医師にその旨を伝えましょう。

参考:ベセルナクリーム5% 添付文書

外科療法

外科療法には、主に4種類の手術法があります。4つの手術にはどのような違いがあるのか、順に見ていきましょう。

尖圭コンジローマの外科手術

凍結療法

凍結療法は、外科療法の中でも最も中心となる治療法です。

マイナス196度の液体窒素が含まれた綿棒をイボに当て、凍らせます。こうすることでウイルスは死滅し、元の健康な皮膚に戻れるのです。

凍結療法は麻酔も使わないため、患者の負担が少ない治療法です。しかし、凍結療法が使えるのはあくまで初期のイボや小さいイボ、範囲の狭いイボだけです。また、尿道や膣の中にあるイボも、凍結療法では治療できない場合が多いです。

凍結療法は、週に一度の通院を数週間から数か月続ける必要があります。

電気焼灼

イボの周辺に麻酔を打ち、電気メスでイボを焼く治療法です。皮膚を焼くことになるため、術後は傷が残ってしまう可能性が高いです。しかし凍結療法よりも治療時の痛みが少なく、1~2回の通院で治療が終わるというメリットもあります。

レーザー蒸散

電気焼灼と同じように、イボの周辺に麻酔を打ち、炭酸ガスレーザーなどでイボを取り除く治療法です。周辺の皮膚ごと焼くため、再発を防止することもできます。

外科的切除

専用の器具でイボを切除する治療法です。切除後はイボ周辺の皮膚もレーザーで焼き、再発を防止します。他の治療法に比べて痛みを伴いやすく、出血もしてしまいます。

尖圭コンジローマは完治する?

結論からいうと、尖圭コンジローマは完治する病気です。しかし、それと同時に非常に再発率の高い病気でもあります。

尖圭コンジローマの再発に悩まされる女性

なぜなら、治療を行ってイボがなくなったとしても、治療中すでに周辺の皮膚にウイルスが潜伏している可能性があるからです。せっかく一つのイボを治療してなくしても、数か月後にはまた新たなイボが発生、というパターンが多いのです。実際、治療後3か月以内に再発を起こす患者数は、全体の約25%にものぼります。

コンジローマを治療した後には最低でも3か月は経過を観察します。その間に再発が起こらなければ、そこではじめて「完治した」ということができるのです。

参考:性感染症 診断・治療ガイドライン2011

コンジローマの治療費はどれくらいかかる?

尖圭コンジローマの治療には保険が適用されます。治療費については、性別や症状の重さなどによっても異なりますが、おおよそ以下の表を目安にするとよいでしょう。

尖圭コンジローマの治療費(保険適用の場合)

診察料 1,000~5,000円程度
検査料 600~700円程度
手術費 3,000~7,000円程度
薬代 3,000円~
治療費のおよその合計額 15,700円程度

表に記載した金額は、すべて保険適用の場合の金額です。

上記の表はあくまで目安のため、尖圭コンジローマで病院へかかる前には、あらかじめ病院のホームページで大体の予算を確認しておくとよいでしょう。

尖圭コンジローマを予防するには

尖圭コンジローマを予防する手段として有効なのが、コンドームです。尖圭コンジローマは性器やその周辺に発生するイボを介して感染が広まるため、性交の際には必ずコンドームを着用してください。

尖圭コンジローマを予防するコンドーム

また、尖圭コンジローマだと病院で診断されて以降は、一切の性行為を控えましょう。尖圭コンジローマである以上、その時症状が出ている部位以外にもウイルスが潜んでいる可能性があります。さらに、尖圭コンジローマはオーラルセックス、またはアナルセックスでも感染する恐れがあるのです。コンドームだけでは感染を防ぎきれない可能性もあるので、むやみな性行為は必ず控えてください。

性器やその周辺の皮膚、または口内などに特徴的なイボがあらわれた場合には、パートナーと一緒にすぐに病院で検査を受けましょう。早期発見・早期治療のためにも、日ごろから陰部や口内、肛門付近にイボやただれがないかセルフチェックを心掛けてみてください。

まとめ

尖圭コンジローマを治療するには、薬物療法と外科療法の2つの治療法があります。薬物療法ではベセルナクリームという薬を患部に塗り、外科療法では手術によってイボを切除します。

尖圭コンジローマは再発率の高い病気ですが、根気よく治療を続ければ完治が見込める病気でもあります。とはいっても、やはり尖圭コンジローマに感染しないことが一番です。日ごろからセーフセックスを心掛け、何か気になる症状が出た場合には必ずパートナーと一緒に検査を受けましょう。