公開日
2017/02/15
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淋菌感染症(淋病)とは、主に性行為によって感染する性感染症です。淋菌感染症にかかってしまったら、どのような治療をするのでしょうか。最近では、淋菌の適応進化によって、さまざまな薬剤に耐性のある淋菌が増えてきました。耐性菌を避けるように効果がある薬剤が使われ続けた結果、耐性菌は増加し、残る抗菌薬(抗生物質)の種類はどんどん減ってきています。

淋菌の薬剤耐性を踏まえて医学も進歩しています。淋菌感染症の基本的な治療法と、効果的な抗菌薬の種類をご説明します。さらに、淋菌感染症にかからないための予防法も見ていきましょう。

淋菌感染症の治療法

淋菌感染症にはどのような治療法があるのでしょうか。淋菌感染症にかかってしまうと、放っておいたところで自然治癒はしません。淋菌感染症は放置すると悪化する一方なので、症状が悪化する前に必ず治療しましょう。

淋菌感染症はどうやって治療するの?

淋菌感染症の治療は、基本的に抗菌薬による点滴か注射でおこなわれます。なぜなら、抗生物質の血中濃度が高ければ高いほど、淋菌の抑制効果も高まるからです。

淋病の治療は抗菌薬による点滴か注射が一般的

問題点としては、患者が飲み薬を飲んでいる途中に症状が治まると、再診に行かないことです。完治する前に患者自身が治ったと判断してしまい、治療をやめてしまうのです。そのため、1回でも効果の高い点滴や注射が必要となります。基本的には、男女ともに点滴や注射による1回治療、という手法は同じです。

感染した場所によって治療法も違う?

病院での淋菌感染症の治療は、点滴か静脈注射、もしくは筋肉注射でおこないます。 尿道炎や子宮頚管炎に対しては、抗菌薬を点滴か静脈注射、もしくは筋肉注射を1回投与します。咽頭炎の場合、点滴か静脈注射1回で治療します。

尿道炎や子宮頚管炎が悪化し、精巣上体炎や骨盤内炎症性疾患になっている場合、点滴や注射の回数が増えます。淋菌が全身に感染してしまう播種性淋菌感染症(DGI)の場合は、3日~7日間の治療が必要です。

淋菌性結膜炎、直腸感染の場合は筋肉注射1回で治療します。結膜炎は目薬を用いての治療もおこないます。

飲み薬でも治る?

飲み薬でも治療は可能です。しかし淋菌が進化し、耐性菌が増えていることにより、効果が出る症状が限られてきました。加えて、淋菌感染症は抗生物質の血中濃度が高ければ高いほど効くので、点滴や注射を第1選択薬として使用されています。

第1選択薬でないとはいえ、飲み薬の種類と症状によっては高い効果が期待できます。さらに注射や点滴と併用することで、菌の死滅を助けてくれます。

治療で完治する?後遺症は?

有効な抗菌薬がなかった時代には、淋病が原因となって尿道が狭くなってしまう(尿道狭窄)後遺症がありました。しかし、抗菌薬の研究が進み、現在では後遺症はほとんどなくなりました。

淋菌感染症は点滴や注射であれば、1回の治療でほとんどの場合完治します。治療後に淋菌の死滅を確認する検査も、あまり必要ではありません。飲み薬で治療する場合は、しっかりと服薬規則を守り、最後まで薬を飲みましょう。薬を飲み終わって症状が治まったら、もう1度確認の検査をする必要があります。

淋菌感染症は、しっかりと治療すれば再発の心配もありません。パートナーが淋菌に感染していると、1度治ってももう一度感染する場合があります。治療をするときは、自分のパートナーにも検査を受けてもらいましょう。

淋菌感染症に効く抗菌薬

上記では淋菌感染症の治療法をご説明しました。では、実際どのような抗菌薬(抗生物質)の種類があるのでしょうか。

1960年ころから使われていたペニシリン系抗菌薬や、その後に適用され出したニューキノロン系抗菌薬も、2000年前後には耐性菌の割合が80%以上に達しました。新しい抗菌薬が開発されて使われると耐性菌があらわれる。また新しい抗菌薬を開発すると、また耐性菌があらわれる。性感染症のなかでも、特に淋菌感染症に関しては、治療薬と耐性菌のイタチごっこが続いています。

現在、日本で使われている淋菌感染症に有効な抗菌薬を知りましょう。

淋病には耐性のない抗菌薬しか効果がない

点滴・注射の種類

淋菌感染症の点滴や注射に使われているのは、セフトリアキソン(ロセフィン)スペクチノマイシン(トロビシン)です。保険適用で確実な効果があるのはこの2剤です。第1選択薬として使用される、2種類の抗菌薬についてご説明します。

セフトリアキソン(ロセフィン)

セフトリアキソン(ロセフィン)は、セフェム系の抗菌薬です。点滴か静脈注射で投与されます。基本的には1日1回のペースで注射します。症状がひどい場合は、用量を増やして2回に分けて投与します。

スペクチノマイシン(トロビシン)

スペクチノマイシン(トロビシン)はアミノグリコシド系の抗菌薬です。スペクチノマイシンは筋肉注射で1回投与します。1回で効果が低い場合は、用量を増やして追加投与します。

飲み薬「ジスロマック」

飲み薬で効果的なものは、マクロライド系のアジスロマイシンを主成分としたシロップです。「ジスロマック」という抗菌薬で、淋菌性の尿道炎、子宮頚管炎に効果があります。海外の研究では治療失敗の報告があるため、日本では第1選択薬ではありません。とはいえ、現在日本では、淋菌に対して90%以上の効果があることがわかっています。セフトリアキソンとスペクチノマイシンにアレルギーがある場合などに、アジスロマイシンが使用されます。また、ジスロマックは淋病とクラミジアを同時に治療できる薬としても効果的です。

淋菌感染症を予防しよう

ここまでは、淋菌感染症にかかってしまった時の治療法や治療薬(抗菌薬)を見てきました。淋菌感染症を治療した後も、再発防止のために予防法を知りましょう。まだ淋菌感染症にかかっていない人であれば、これからの感染を防ぎましょう。

淋菌感染症にかからないためにはどんな予防法があるのでしょうか。

淋病予防の基本中の基本はコンドーム

確実な予防法はある?

性感染症の1番の予防法はコンドームを付けることです。淋菌感染症にはワクチンがありません。そのため予防法は、性行為をしない、もしくは性行為の時に正しくコンドームを付ける、ということが大切です。

  1. より安全な性行為を実践する
    • 相手が淋菌感染症にかかっていないか確認する
    • 淋菌感染症の症状がある、治療を受けている、感染の可能性がある場合は性行為を避ける
    • 一度に複数の相手との性的関係を持たない
  2. コンドームを使用する

膣性交だけでなく、アナルセックスやオーラルセックスでも淋菌感染症はうつります。アナルセックスやオーラルセックスでは妊娠しないとはいえ、コンドームを付けるべきです。コンドームは、避妊のためだけでなく性感染症予防にも、大きな役割を果たします。

検査を受けましょう

性行為をする前にパートナーと検査をすることも大切です。自分もパートナーも、気付かないうちに淋菌に感染している可能性があります。性行為に至る前に淋菌感染症の検査をし、感染していれば治療しましょう。淋菌感染症を拡大させないためにも、パートナーと一緒に検査を受けて予防しましょう。

まとめ

淋菌感染症は自然治癒する病気ではありません。自覚症状があらわれたら、放っておかずにすぐ治療しましょう。

淋菌感染症の治療は、抗菌薬の耐性菌が増えていることによって困難になりつつあります。そのため使用できる抗菌薬も限られてきました。しかし、悪化する前に点滴や注射で治療をすれば、一度で完治します。飲み薬で治療する場合は、症状が治まった後に再度検査が必要です。

淋菌感染症の治療法と予防法を知り、繰り返し感染しないようにしましょう。