公開日
2017/03/01
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アモキシシリンとは抗生物質の一種です。抗生物質とは、あらゆる症状の原因となる細菌やウイルスを殺したり、増殖を抑えたりする作用を持っています。アモキシシリン(サワシリン・ノバモックス)はどんな病気に効く?服用してから効果が出るまでどれくらい?など、アモキシシリンの効果と作用についてご紹介します。

アモキシシリン(サワシリン・ノバモックス)ってどんな薬?

アモキシシリンは、抗生物質のなかでも「ペニシリン系抗生物質」に分類されます。ペニシリンは世界で最初に発見された抗生物質で、ペニシリン系に属する抗生物質も、古くから様々な感染症に使われてきました。

主成分をアモキシシリンとする薬剤のなかでも代表的な商品が「サワシリン」です。サワシリンは、1972年にビーチャム社(現グラクソ・スミスクライン)によって開発されました。様々な細菌に対して効果が得られるため、内科や呼吸器科、耳鼻科などでも広く処方されています。

サワシリンが効果を発揮する細菌は、以下の通りです。

  • 梅毒トレポネーマ
  • ブドウ球菌
  • 肺炎球菌
  • 腸球菌
  • 淋菌
  • 大腸菌
  • ヘリコバクター・ピロリ など

多くの病気に効くため、ペニシリン系薬剤の中でも最も多く使われるのがこのサワシリンです。

またサワシリンには、サワシリンカプセル125サワシリンカプセル250サワシリン錠250サワシリン細粒10%という4つの剤型があります。

アステラス製薬株式会社が製造販売するサワシリンカプセル125
アステラス製薬株式会社が製造販売するサワシリンカプセル250
アステラス製薬株式会社が製造販売するサワシリン錠250
サワシリン細粒10%

薬にはこれらの形状の他にも、液剤や点眼剤、注射剤などがあります。上に挙げた4つの剤型はカプセル、錠剤、顆粒ですが、これらは体内で時間をかけて溶けるため、薬の効果が長時間持続されるというメリットがあります。また、患者の症状や年齢に応じて、処方されるサワシリンの剤型(カプセル、錠剤、顆粒)は異なります。

アモキシシリンを主成分とする薬剤
アモキシシリン(ニプロ, 日医工, 東和薬品, 辰巳化学)
アモリン(武田テバ薬品)
サワシリン(アステラス製薬)
パセトシン(協和発酵キリン)
ワイドシリン(Meiji Seikaファルマ)
ノバモックス(シプラ)

どんな病気に使われる?

前述したように、アモキシシリン(サワシリン・ノバモックス)は様々な細菌に対して効果を発揮するため、多くの病気の治療に用いられます。詳しくは下記をご覧ください。

  • 梅毒
  • 淋病
  • 気管支喘息
  • 気管支炎
  • 肺炎
  • 扁桃炎
  • リンパ節炎
  • 咽頭炎
  • 膀胱炎
  • 骨髄炎 など

これらの他に、インフルエンザの治療に使われることもあります。しかしこれはインフルエンザの菌を直接殺すのではなく、インフルエンザによる諸症状(副鼻腔炎や肺炎など)の菌を除去するのに使われているのです。

また、サワシリン細粒10%は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍によるヘリコバクター・ピロリ感染症にも有効です。その他のサワシリンカプセル125、サワシリンカプセル250、サワシリン錠250は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の内視鏡治療後のヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に有効です。

アモキシシリン(サワシリン・ノバモックス)の作用機序

アモキシシリンを服用したのち、体内では一体どのような作用が働いているのでしょうか。

代表的な「サワシリン」の作用機序をお話しする前に、ヒトと細菌の細胞の違いについてもお話ししましょう。通常、細胞は細胞膜という薄い膜に覆われています。さらに細菌の細胞は、細胞膜の周りにひときわ頑丈な細胞壁という壁にも囲われており、これはヒトの細胞には存在しません。

細菌の細胞壁の合成阻害

アモキシシリンは、細菌の細胞壁を破壊して、細菌を殺す働きを持ちます。この時、なぜヒトの細胞まで壊さないのかというと、抗生物質が持つ選択毒性という性質のおかげです。選択毒性とは、特定の病原菌にのみ毒性を示し、その他の細胞には害を及ぼさない性質のことです。これにより、アモキシシリンは細菌の細胞のみを破壊するのです。この作用によって細菌が死滅すると、体にあらわれていた症状は徐々に治まっていきます。

服用から効果が出るまでの時間は?

アモキシシリン(サワシリン・ノバモックス)服用後、効果があらわれるのにはどれほど時間がかかるのでしょうか。ここでもサワシリンを例に紹介します。

サワシリンカプセル250は服用してから2時間後に血中濃度が高くなります

血中における薬の濃度が最も高くなる時間帯は、サワシリンを服用してから約2時間後です。それからさらに1時間が経過すると、血中の薬の濃度は半分になります。サワシリンを服用してから効果があらわれるまでの時間と、効果が持続する時間はどちらも約2時間です。

また、サワシリンの服用間隔は、およそ3~4時間程度で問題ありません。これには、服用後2時間で薬の濃度が高まることと、それから1時間後には濃度が半減することが関係しています。

まとめ

アモキシシリン(サワシリン・ノバモックス)は、多くの病気にその効果を発揮するため、ペニシリン系薬剤の中でも最も使われている薬です。サワシリンカプセル125、サワシリンカプセル250、サワシリン錠250、サワシリン細粒10%など4つの種類がありますが、どれが処方されるかは患者の症状や年齢によって異なります。効果があらわれるのは服用からおよそ2時間後で、服用間隔は3~4時間後を目安としましょう。