
梅毒の初期症状は赤いしこり!手遅れになる前に病院へ
- ざっくりまとめると
- 梅毒は感染から経過した期間によって4段階に分かれる。初期症状は赤いしこり。
- 第2期になると様々な症状があらわれる。感染に気づかず治療が遅れると重症化するので要注意!
- 梅毒になった場合HIVにも感染している可能性大!感染を防ぐために不特定多数との性交を避けましょう。
梅毒は、感染から経過した期間によって、4つの段階に分類されます。また、梅毒は経過した期間によって症状が変化します。特に感染初期の症状は痛みがなかったり、女性は男性に比べて症状に気づきにくかったりと、発見が遅れやすい病気です。
梅毒は処置が遅れると重症化し、最悪の場合、死に至ります。早期の発見、治療につなげるために、梅毒の症状を段階ごとに見ていきましょう。
症状の画像を医療機関のホームページや専門の資料から引用しています。刺激の強い画像もありますので、あらかじめご了承ください。
【関連】梅毒の原因と感染経路、何したら感染?梅毒が原因の症状は?
第1期の初期症状は赤いしこり!痛みがなく気づきにくいので注意

梅毒に感染して、3週間から3ヶ月の期間は第1期と呼ばれます。特徴は、初期症状として、 小豆ほどの大きさの身体に赤いしこりがあらわれることです。このしこりは「初期硬結(しょきこうけつ)」とも呼ばれ、硬性下疳(こうせいげかん)という硬いイボに発展する場合もあります。また初期硬結や硬性下疳が出たあとから、内股のリンパ節の腫れが起こる場合もあります。
これらの症状はいずれも痛みがありません。そのため、症状が出ても気づきにくいのです。症状はおよそ2~3週間ほどで治まります。いったん症状が治まると、多くの人が「治った」と勘違いしてしまいがちですが、梅毒が自然治癒することはありません。本人の気づかないうちに病状は進行していき、潜伏期を経てから第2期へと移行します。
男性は陰茎に症状がでるため気づきやすい
男性の場合、しこりが生じる主な部位は、陰茎の亀頭や冠状溝(亀頭と陰茎の間)、性器周辺の皮膚などです。
女性に比べて症状が強くでることや、感染した本人が肉眼で患部を確認しやすいため、症状に気づきやすいとされています。
女性は症状が目視しづらいため気づきにくい
女性は大陰唇や小陰唇、膣の周辺にしこりがあらわれます。
症状は性器の表面だけでなく、膣と子宮を繋ぐ子宮頚部にも起こります。子宮頚部に発症した場合、自分で目視することができません。また、女性は男性に比べて、陰部を日常的に確認する機会が多くありません。そのため、女性の梅毒の初期症状は男性に比べて気づきにくいといわれています。
第2期になると目立った症状が現れるようになる

梅毒に感染して3ヶ月から3年の間は第2期に分類されます。第1期と第2期は、2つ合わせて「早期梅毒」とも呼ばれます。第2期は様々な症状が出るのが特徴です。男女で症状に違いはありません。梅毒の第2期に現れる代表的な症状を、写真とともに見ていきましょう。
【第2期の症状1】はじめは全身に赤い「バラ疹」ができる
バラ疹は梅毒の第2期の最初に起こる症状です。顔や首、胸、腹、手足、背中などにあらわれます。バラの花びらを散らしたような湿疹であることからこう呼ばれています。色は淡い赤や赤紫などが多く、大きさは約1~2cmほどです。
バラ疹は基本的には無痛性であり、初期症状のしこりと同様、時間の経過とともに治まります。
【第2期の症状2】バラ疹よりも小さくて白い「梅毒性丘疹」
梅毒性丘疹(ばいどくせいきゅうしん)は、エンドウ豆ほどの大きさの丘疹です。色は白っぽく、硬性下疳のように硬さをもち、全身にあらわれます。
この症状が出てはじめて梅毒に感染したことに気づく人が多いです。梅毒性丘疹はバラ疹が治まったあとにあらわれます。ただし、バラ疹は梅毒性丘疹よりも発症する頻度が低いため、いきなり梅毒性丘疹があらわれたように見えることが多いとされます。
【第2期の症状3】湿った場所にできる柔らかいイボは「扁平コンジローマ」
扁平(へんぺい)コンジローマは、梅毒性丘疹が性器や肛門周辺、乳房の下やわきの下などの湿った部位に発生したものです。
淡い紅色、または灰白色をした、柔らかいイボのような形状をしています。ただれて分泌液が出るため、湿っているのが特徴です。
【第2期の症状4】丘疹の上にカサカサができるのは「梅毒性乾癬」
梅毒性乾癬(ばいどくせいかいせん)は、梅毒性丘疹のうち、手のひらや足の裏など、皮膚の硬い部位に発生したものです。少し盛り上がった丘疹に、カサカサに乾燥した皮が付着します。
引っ搔くとポロポロと皮(鱗屑と呼ばれるもの)が剥がれ落ちることが特徴です。
【第2期の症状5】皮膚の病変だけでなく風邪のような症状も起こる
梅毒の第2期では、皮膚の異常だけでなく、風邪とよく似た症状も起こします。
梅毒のその他の症状
- 喉の扁桃炎(梅毒性アンギーナ)
- 全身におよぶリンパの腫れ
- 発熱
- 倦怠感
- 食欲不振
- 関節痛
他にも、円形脱毛や口内炎が起こる場合もあります。このように、梅毒の第2期は、全身に様々な症状があらわれます。梅毒の感染に心当たりがあり、且つ上記の症状が見られる場合は、すぐに病院で検査を受けましょう。
第3期になると皮膚や器官にゴム腫ができる

第2期の段階で適切な治療が行われないと、第3期に進行します。第3期では血管に炎症が生じたり、様々な神経症状を引き起こす「神経梅毒」が発症したりと、重篤な症状が出はじめるのが特徴です。後述の第4期と合わせて「晩期梅毒」と呼ばれます。
第3期の特徴的な症状はゴム腫です。名前の通りゴムのような弾性を持つ腫瘍が、皮膚のみにとどまらず、骨や筋肉、肝臓や腎臓といった内部の器官にも生じます。このゴム腫により、器官の組織が壊されていきます。
梅毒になると「鼻が落ちる?」
「梅毒にかかると鼻が落ちる」といった表現がされます。これは鼻の骨がゴム種によって破壊された結果、骨が陥没する様子を語っているものです。
第3期以降は早期梅毒と比べ、感染力が弱くなるため、他人に感染が広がる確率は低くなります。現代では早期梅毒の段階で治療を終えるケースが多いため、第3期まで進行してしまうことはまれです。
第4期まで進行すると脳や心臓が侵され死に至る

梅毒に感染し、治療が行われないまま10年経つと、第4期に移行します。心臓やその他の内臓、血管や神経が侵され、視覚や聴覚が失われたり、大動脈炎や大動脈瘤が起こったりします。また脳や脊髄にも腫瘍が生じるため、痴呆や言語障害、脊髄癆が起こる可能性もあるのです。梅毒が第4期まで進行すると、正常な日常生活を送れなくなり、最悪の場合は死に至ります。前述したように、現代では第3期以降まで梅毒が進行することはありません。
梅毒は時間を経るごとに症状が重くなり、早い段階で治療を行わなければ死亡する可能性もある恐ろしい病気です。症状が第2期の段階で治療すれば重症にならずにすみます。症状に気が付いたら、すぐに病院に行き、治療を受けましょう。
梅毒を発症したらHIVにも感染している可能性が高い!

梅毒を発症した場合、HIVにも感染している可能性があります。これは、梅毒もHIVも主な感染経路が性交渉であるためです。
そのため、梅毒を発症した場合、HIVの検査も行う必要があります。また、HIVの感染がわかったときも同様に、梅毒に感染していないか検査を受けることが重要です。以下の表は、HIVと重複感染する確率の高い性感染症をあらわしたものです(調査対象者は男性の同性間性的接触感染者のみ)。
この表を見ると、HIV感染者の6割以上が梅毒に感染しており、重複感染の可能性が高いことがわかります。
梅毒はHIVと重複感染すると進行が早まる
梅毒は本来進行の遅い病気ですが、HIVと重複感染すると進行が早まります。早い段階から神経に症状が出たり、皮膚上の病変が、梅毒のみに感染した場合よりも重症化したりする傾向にあります。さらに梅毒がHIVと重複感染してしまうと、梅毒の治療効果が十分に得られなくなってしまうのです。
現代では、梅毒もHIVも感染後すぐ死に至るような病気ではなくなりました。梅毒に感染しないことが一番ですが、もし感染が発覚した場合は、同時にHIVの検査も受けておくことが大切です。
梅毒を予防するにはコンドーム着用を徹底&不特定多数との性交を避ける

梅毒は、主に性交によって感染します。そのため、性交時には必ずコンドームを着用することが大切です。しかし、梅毒は膣性交以外にも、オーラルセックスやアナルセックス、キスなどでも感染する恐れがあります。コンドームをつけていても、性器以外の場所から感染する可能性があるのです。
自分が感染しないため、また、周囲に感染させないために、できるだけ不特定多数の異性と関係を持つことはひかえましょう。他にも、梅毒の感染を広げないために日常で気を付けるべき注意点があります。
梅毒の感染を防ぐために気をつけること
- 不安のある(複数の異性との)性交はひかえる
- 性交時には必ずコンドームを使う
- 唾液や血液からの感染を防ぐため、食器やカミソリなどは共用しない
- 他の病気が理由で自己注射を行う場合は、針の共有は必ず避ける
これらのことに気をつけ、梅毒の感染を防ぎましょう。もし不安のある行為を行ってしまった後や、性器や皮膚に「赤いしこり」などの気になる症状が出た場合は、すみやかに病院で検査を受けることをおすすめします。