公開日
2018/01/12
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「フォアダイス」は性器や唇、まぶたなどにできる白いイボです。誰にでも自然に起こるもので、害はありません。しかし、白いブツブツができると見た目が悪いため、多くの人が気にしてしまいます。特に性器にできたフォアダイスは、性病と誤解されてしまう可能性もあります。また、似たようなイボができる性病があるのも事実です。

このページでは、主に性器にできるフォアダイスについて解説していきます。イボができる仕組みや性病との見分け方、取り除く方法など、フォアダイスに関する疑問や不安を解決しましょう。

フォアダイスは病気じゃない

フォアダイスは自然に起こる現象

フォアダイス(Fordyce's spot)とは、皮膚に複数の白っぽいイボができた状態です。性器や唇、頬の内側、まぶたにあらわれます。フォアダイスは病気ではなく、誰にでも自然に起こる現象です。成人男性では65%にフォアダイスができるといわれています。痛みやかゆみも出ず、日常生活に何の支障もありません。人にうつることもないのです。

それでは、フォアダイスはなぜできるのでしょうか。その原因について解説していきます。

フォアダイスの原因は皮膚の中に溜まった皮脂

フォアダイスは、皮膚の内側で溜まった皮脂が透けて見えているものです。

人間の皮膚の内部には皮脂腺という組織が存在します。皮脂腺は皮脂と呼ばれるアブラを分泌し、肌や毛髪を保護する働きを持ちます。皮脂腺は普通、毛穴とセットで存在しており、分泌された皮脂は毛穴から出てくるのです。しかし、唇や性器のような毛が生えない、つまり毛穴がない部位にも皮脂腺ができる場合があります。そのような、単独で存在する脂腺を独立脂腺といいます。

皮脂腺と汗腺の模式図

独立脂腺は毛穴を伴わないため、腺が直接皮膚に開くものの、皮脂が詰まって閉じてしまうのです。そのため、分泌された皮脂が排出できず、蓄積されていきます。このように、独立脂腺の中で皮脂が溜まり、肥大化したのがフォアダイスです。性器や唇の周りは独立脂腺ができやすいため、フォアダイスもよくできます。

性器にできるフォアダイス

性別に関係なく男性器にも女性器にもフォアダイスはできる

フォアダイスの中でも、性器にできたものが特に注目されます。本来、フォアダイスが最もできやすい場所は唇です。しかし、性器にできたフォアダイスは、その見た目から性病と誤解されることもあります。そのような誤解を受け、精神的な負担を感じる人が多いのです。

ここでは、男性と女性それぞれに分けて、性器にできるフォアダイスの状態を紹介します。

男性のフォアダイス

フォアダイスができるのは陰茎の包皮と陰嚢です。しかし、陰茎の別の場所にも似たようなイボができます。

亀頭の周りにできるイボは「真珠様陰茎小丘疹」です。男性のおよそ20%に見られ、尖圭コンジローマとよく間違えられます。陰茎小帯という、陰茎と包皮を繋ぐ筋の周りにあらわれるのは「タイソン腺」、または「包皮腺」と呼ばれます。

男性器にできるイボの種類
名前 フォアダイス 真珠様陰茎小丘疹 タイソン線
外見
男性のフォアダイス
真珠様陰茎小丘疹
タイソン線
部位 包皮・陰嚢 亀頭の外周 陰茎小帯の両側
出典・画像引用元
フォアダイス:フォアダイス / Wikipedia
真珠様陰茎小丘疹:性行為感染症と間違われやすい病気??!! / 新 医学と切手の極意
タイソン線:診療日記第76話 ペニスのイボイボ、亀頭周辺のブツブツ(フォアダイス、真珠様陰茎小丘疹、タイソン腺画像あり) / 名古屋メイルクリニック

場所によって呼び名が変わりますが、いずれもフォアダイスと同じ、無害なイボです。本来、陰茎のフォアダイスは、包皮や陰嚢にできるイボを指しますが、これら3つをまとめてフォアダイスと呼ぶこともあります。

女性のフォアダイス

フォアダイスは男性器だけでなく女性器にもできます。男性よりも頻度が低いのであまり注目されませんが、女性でも同じように白っぽいイボが性器の周りにできるのです。

女性器にできるイボの種類
名前 フォアダイス 膣前庭乳頭症
外見
女性のフォアダイス
膣前庭乳頭症
部位 女性器 小陰唇(膣口の周り)

画像引用:真珠様小丘疹とは-尖圭コンジローマと間違われる病気 / メディカルノート

小陰唇と呼ばれる、膣口の周りにできるものは特に膣前庭乳頭症と呼ばれます。男性器の真珠様陰茎小丘疹にあたるもので、できる場所のほかにフォアダイスとの違いはありません。男性器にできるものと同じく、2つまとめてフォアダイスとして扱われます

フォアダイスと似ている性病に注意

相談に乗る医師のイメージ

性器にできたイボがフォアダイスなら無害ですが、似た症状の性病があるため注意しましょう

性病の中でも、フォアダイスと間違えやすいのは尖圭コンジローマ性器ヘルペスです。これらの症状をフォアダイスだと思って放置すると、重症化したり、周りに感染を広げたりする恐れがあります。以下はフォアダイス、尖圭コンジローマ、性器ヘルペスの特徴をまとめた表です。

フォアダイスと性病の見分け方
フォアダイス 尖圭コンジローマ 性器ヘルペス
男性の発生部位
  • 包皮
  • 亀頭周辺
  • 亀頭
  • 包皮の内外
  • 陰茎
  • 亀頭
女性の発生部位
  • 小陰唇
  • 膣内
  • 大陰唇
  • 小陰唇
  • 大陰唇
  • 小陰唇
  • 膣口
  • クリトリス
イボの大きさと色
  • 約1mm
  • 均一
  • 白っぽい
  • 1~3mm程度
  • 不揃い
  • 白、ピンク、茶褐色、または黒色
  • 1~2mm
  • 白または赤色
イボの特徴
  • 痛みとかゆみはない
  • 肥大化しない
  • 急激に増大しない
  • 基本的に無痛
  • 短期間で増殖
  • 「鶏のトサカ」のような質感
  • かゆみがある

尖圭コンジローマは、大きさのまばらな、尖ったイボができます。性器ヘルペスはかゆみを伴い、発熱する場合もあるのが特徴です。これらの特徴から、フォアダイスと区別できます。もし、フォアダイスと性病の見分けがつかずに不安なら、性病科や皮膚科を受診しましょう。男性は泌尿器科、女性は婦人科でも診察が受けられます。

尖圭コンジローマ性器ヘルペス の症状については、別の記事でも詳しく解説しています。

どうしてもフォアダイスが気になるなら手術

気になる場合は専門の医療機関でみてもらう

フォアダイスは病気ではないので、治療する必要はありません。しかし、「見た目が気持ち悪い」「パートナーに拒絶されるかもしれない」と悩んでしまう人もいるでしょう。フォアダイスがどうしても気になる場合は、専門の医療機関で取り除いてもらえます。フォアダイスを自分で無理やり取り除くのは危険なので、絶対にやめましょう。

では、フォアダイスの手術を受けるときの注意点、危険な自己治療の例を紹介します。

フォアダイスの除去は専門のクリニックで

フォアダイスは専門のクリニックで除去が可能

フォアダイスは専門のクリニックで除去が可能です。フォアダイスは病気ではないため、手術を受け付けていない病院もあります。自由診療をおこなっており、フォアダイスの手術を扱っているクリニックを受診しましょう。フォアダイスの手術は保険が適用されないため、費用が高額です。フォアダイスの数や、クリニックによって異なりますが、およそ3万円から5万円かかります。

クリニックでは、フォアダイスの手術をする前に、無料のカウンセリングが受けられます。手術の内容や費用、術後の詳細などの説明を受けたうえで、手術を受けるかどうかを決められるのです。

電気メスやレーザーでフォアダイスを取り除く

フォアダイスの手術では、主に電気メスや炭酸ガスレーザーが使われます。電気やレーザーの熱でイボを壊死させたあと、削り取るのです。局所麻酔をかけるので痛みはなく、15分ほどで終わります。術後はかさぶたや赤みがありますが、1週間から2週間できれいになります。性器のフォアダイスの手術をした場合、入浴は手術の4日後から可能です。傷口に雑菌が入るのを防ぐため、性行為は手術から2週間は控えましょう。

除去できるのは手術だけ!自力で取ろうとしないこと

フォアダイスは自力で除去しない

フォアダイスを自力で除去しようとすると、怪我や性病の原因となります。市販薬を塗ったり、刃物を使って切り取ったりするのはやめてください。以下はフォアダイスの危険な自己治療の例です。

フォアダイスに市販薬は効かない

フォアダイスを除去できる薬はありません。市販薬の中には、一見するとフォアダイスに効きそうなものがあります。例えば、「イボコロリ」「ウオノメコロリ」など、イボやタコを治す薬がありますが、フォアダイスには効果がありません。

また、本来の用途と違う薬を使うと、フォアダイスを除去するどころか、体に悪影響を及ぼす可能性があります。フォアダイスができるのは唇や性器などのデリケートな場所です。そのため、薬を塗ることで痛みが生じたり、皮膚が荒れたりする恐れがあります

フォアダイスを自分で切除するのは危険

ハサミや爪切りでフォアダイスを切り取るのは、非常に危険です。フォアダイスはあくまで正常な皮膚の一部なので、切り取ろうとすれば激痛はもちろんのこと、出血も伴います。また、傷口から細菌やウィルスが侵入し、感染症を引き起こす危険もあるのです。こうしたリスクが伴うため、フォアダイスが気になっても、自分で切り取るのは絶対にやめてください。

フォアダイスのまとめ

フォアダイスとは、唇や性器を中心にあらわれる無害なイボです。皮膚の内側で皮脂が溜まってできたものであり、病気ではありません。しかし、性器にできたフォアダイスは性病と間違えられることがあり、精神的な負担になります。また、尖圭コンジローマや性器ヘルペスといった、似たような症状の性病があるので注意が必要です。「自分の性器にできたイボが性病かもしれない」と不安であれば、病院で診てもらいましょう。

害はないとわかっていても、どうしても気になる場合は、フォアダイスの手術を行っているクリニックを受診しましょう。費用は高額ですが、きれいに取り除いてもらえます。フォアダイスを自分で取り除くと、怪我をするだけでなく、感染症にかかる危険性があるので絶対にやめましょう。フォアダイスは自然に起こる現象です。そのままにしても害はないので安心してください。