
膣トリコモナス症の症状は痒みやおりものの変化!症状がないことも!?
「おりものが臭いしあそこがすごくかゆい...!これってトリコモナスかはっきり分からない...」など、自分の症状は膣トリコモナス症なのか判断に困った経験はありませんか?
膣トリコモナス症というと、病名からは女性限定の病気だと思われがちですが、男性も膣トリコモナス症に感染します。
膣トリコモナス症に感染すると、男性は尿道にかゆみが出たり、排尿時に痛みを生じます。女性は、膣内や外陰が痒くなったり、おりものに異常が見られるのです。膣トリコモナス症に感染した場合の症状や、症状が出るまでの期間など、詳しく紹介します。
男女別!膣トリコモナス症の症状とは?
膣トリコモナス症に感染し、症状が現れる場合は、男女それぞれどのような症状が出るのでしょうか。男性は尿道のかゆみや排尿時の痛み、女性は膣や外陰部のかゆみやおりものの異常が見られます。それぞれ、どのような症状なのか詳しく見ていきましょう。
男性は尿道炎や前立腺炎を発症
男性の場合、膣トリコモナス症に感染すると、主に尿道炎や前立腺炎を発症します。これらの病気にかかると、体にどのような症状が現れるのでしょうか。それぞれ詳しく説明しましょう。
尿道炎(にょうどうえん)
膣トリコモナス症にかかると、男性は主に尿道炎を発症します。尿道炎とは尿道(排尿する際に、尿が通る管のこと)に炎症が起きる病気です。トリコモナス原虫が尿道に寄生することによって発症します。尿道炎の症状は、尿道から膿が出たり、尿道にかゆみを感じたりします。
- 尿道炎の症状
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- 膿が尿道から出る
- 尿道のかゆみや違和感
- 排尿時の軽い痛み
前立腺炎(ぜんりつせんえん)
膣トリコモナス症にかかると、男性はまれに前立腺炎を発症します。前立腺炎とは前立腺(尿や精子を排出する働きをする生殖器)に炎症が起こる病気です。トリコモナス原虫が前立腺に寄生することで発症します。前立腺炎の症状は、排尿時の軽い痛みに加え、尿が出た後に残尿感があります。
- 前立腺炎の症状
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- 排尿時の軽い痛み
- 残尿感
女性は、膣や外陰のかゆみ、おりものの異常を発症
女性の場合、膣や尿道にトリコモナス原虫が寄生することで、膣トリコモナス症が発症します。膣にトリコモナス原虫が寄生し、炎症が起こると、膣や外陰に強いかゆみが出るほか、おりものが変化するのです。おりものは通常、無臭かすっぱいにおい。状態はサラサラしているか、粘り気があります。それに比べ、膣トリコモナス症に感染したおりものは、魚が腐ったような生臭いにおいを放ち、状態も泡状に変化するのです。
トリコモナス原虫が尿道に寄生して炎症を起こした場合は、尿道炎を発症します。尿道炎の症状は、排尿時の軽い痛みです。
- 症状
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- 腐ったような生臭いにおいで泡状のおりもの
- 外陰、膣のかゆみ
- 排尿時の痛み
膣トリコモナス症は症状が出ないことも

膣トリコモナス症は感染しても、体に症状が現れない人が多いので、注意が必要です。
男性の場合、膣トリコモナス症に感染しても、ほぼすべての人が無症状です。一方、女性の場合は、膣トリコモナス症に感染した人のうち、症状が出ない人の割合は約半数です。膣トリコモナス症に感染しても、症状が出る人と、症状が出ない人がいる理由は、はっきりしていません。
気を付けなければいけないのは、症状が出ないということから、知らず知らずのうちに相手に感染させてしまったり、反対に、自分が相手から移されてしまうことがあります。パートナーとセックスする際は、必ずコンドームを使用して感染を予防しましょう。不特定多数のパートナーがいる場合は、感染する確率がより高くなるので注意が必要です。
また、パートナーや家族など、周囲に膣トリコモナス症に感染している人がいた場合、あなた自身も感染している恐れが高いため、必ず検査を受けることをおすすめします。感染したまま放置しておくと、様々な病気にかかってしまうので危険です。膣トリコモナス症を放置すると、具体的にどのような病気にかかってしまうのか、詳しく説明します。
感染してから症状が出るまでの期間は10日前後

膣トリコモナス症に感染してから、どれくらいで症状が出るのでしょうか。
膣トリコモナス症は、感染したからと言ってすぐに症状が出るわけではありません。膣トリコモナス症は男女ともに、膣トリコモナス症が発症するまで10日前後かかります。ただし、中には、症状が出るまでに1か月ほどかかる人もいます。10日経って症状が出なかったとしても、感染していないとは言い切れません。
パートナーや家族が膣トリコモナス症に感染していたら、自分自身も検査することをおすすめします。
膣トリコモナス症を放置すると大きな危険が‼

膣トリコモナス症へ感染していたことに気づいていても、症状が軽い、病院に抵抗があるという理由から放置する人がいます。また、症状が出ないために感染に気づかず放置してしまう人もいます。膣トリコモナス症は安静にしていたところで、自然に完治することは絶対にありません。それどころか、治療せずに放っておくと、症状はさらに悪化します。
男性の場合、精巣上体炎を発症します。女性の場合、膀胱炎や骨盤内感染症を発症します。このような疾患は私たちの体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。詳しく説明しましょう。
精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)
男性の場合、膣トリコモナス症を放置すると、精巣上体炎を発症することがあります。
精巣上体炎とは精巣上体(精子を貯めておく器官)に炎症が起きる病気です。トリコモナス原虫は、尿道や前立腺に寄生したまま放置すると、精巣上体にまで入り込んで、精巣上体炎を発症します。「精巣上体炎」の症状は、陰嚢(いんのう)に痛みや熱が生じます。症状が悪化すると、足の付け根や下腹部にも痛みが広がり、全身が発熱することがあります。
- 精巣上体炎の症状
- 陰嚢(たまのふくろ)の痛み
- 陰嚢の発熱
- 陰嚢の発赤
膀胱炎(ぼうこうえん)
女性の場合、膣トリコモナス症を放置すると、膀胱炎を発症することがあります。膀胱炎は膀胱内の粘膜が炎症を起こす病気です。
トリコモナス原虫は主に膣や尿道に寄生しますが、尿道に寄生したトリコモナス原虫が放置されると、膀胱に入り込んでしまいます。その結果、膀胱炎を発症するのです。膀胱炎になると、頻繁に尿意を感じたり、排尿時に痛みを感じます。また、尿が濁ることもあります。
- 膀胱炎の症状
- 頻尿
- 排尿後の痛み
- 残尿感
- 尿の変化(白く濁る/血が混じる
骨盤内感染症(こつばんないかんせんしょう)
女性の場合、膣トリコモナス症を放置すると、骨盤内感染症を発症する恐れがあります。
骨盤内感染症とは骨盤内の臓器(子宮・卵巣・卵管)に炎症を起こす病気です。治療をせずに放置しておくと、膣や尿道から感染が広がり、骨盤内感染症が引き起こされるのです。症状としては、下腹部の痛み、発熱、おりものの増加などがあります。
- 骨盤内感染症の症状
- 発熱(38~40℃)
- 悪寒
- 吐き気
- 下痢
- 腹痛
- おりものの増加
骨盤内感染症は妊娠、出産にも悪影響を及ぼす
骨盤内感染症に感染してしまうと、先ほど説明した症状以外にも問題が生じます。
骨盤内感染症は、特に妊娠を望んでいる女性や妊娠している女性に悪影響を及ぼしてしまうのです。なぜなら、骨盤内感染症は不妊症や早産の原因になるからです。
ではなぜ、不妊症や早産を引き起こしてしまうのでしょうか。それぞれ詳しく説明します。
骨盤内感染症と不妊症
骨盤内感染症は、卵巣や卵管に炎症が起こるため、不妊症のリスクが高くなります。
骨盤内の臓器は妊娠に深く関わっている器官です。中でも、卵巣は卵子をつくる器官、卵管は卵子を排出するための通り道となっています。この2つの器官に炎症が起こると、正常な排卵が行われません。
骨盤内感染症にかかると、卵巣や卵管の炎症によって排卵の異常をきたすため、不妊症の危険性があるのです。
骨盤内感染症と早産
妊娠をしている女性が骨盤内感染症にかかると、早産の可能性が高くなります。
骨盤内の臓器の中でも、子宮にトリコモナス原虫が入り込むと、胎児を包んでいる膜(卵膜)に炎症が起こるのです。卵膜に炎症が起きると、膜自体が弱くなるので、破水しやすくなります。その状態では、赤ちゃんを子宮の中でしっかり守ることができません。そこで母体は、赤ちゃんの機能が十分に発達していない状態でも、体の外へ避難させようとします。
妊娠中に骨盤内感染症にかかると、赤ちゃんを守る卵膜が弱くなり、早産を招いてしまうのです。
膣トリコモナス症とカンジダ症の見分け方

「この症状は膣トリコモナス症かカンジダ症どちらだろう...。」治療したくても、膣トリコモナス症なのか、カンジダ症なのか見分けがつかず、悩んだ経験はありませんか?膣トリコモナス症とカンジダ症は症状が似ているため、判断に悩む人は多くいます。男女それぞれ、見分けるポイントを見ていきましょう。
見分けるポイントは、かゆみが生じている場所
男性が膣トリコモナス症にかかった場合、カンジダ症との区別は簡単にできます。
膣トリコモナス症とカンジダ症は感染するとどちらも陰部にかゆみが生じます。ふたつを見分けるポイントはかゆみが生じている場所です。膣トリコモナスは尿道にかゆみが生じます。それに対し、カンジダ症は亀頭や包皮といった性器の表面にかゆみが生じるのです。
その他にも、カンジダ症は亀頭や包皮に白いカスや水泡が出ますが、膣トリコモナス症はそのような症状は見られません。
見分けるポイントは、おりもの
男性に比べ、女性は膣トリコモナス症とカンジダ症の区別が難しくなります。なぜなら、膣トリコモナス症もカンジダ症と同様に、膣にかゆみが生じたり、おりものに変化があるからです。
ただし、ひとつだけ見分けるポイントがあります。それは、おりものが変化したときの状態です。膣トリコモナスにかかると、おりものは泡状に変化をします。一方、カンジダ症にかかったときのおりものは、酒粕状や、粥状、ヨーグルト状、チーズのような固形状になります。女性の場合、膣トリコモナス症なのか、カンジダ症なのか迷った際は、おりものの状態で判断をしましょう。
まとめ
膣トリコモナス症に感染すると、からだに症状が現れる人と、現れない人がいます。症状が現れる場合、男性は尿道のかゆみや排尿時に痛みが生じます。女性は膣や外陰部のかゆみや、おりもに変化が起こります。
膣トリコモナス症は、わかりやすい自覚症状が出ない感染症です。自身が感染したことに気づかず、感染源になってしまう可能性があります。膣トリコモナス症単発の症状におさまらず、男女ともに不妊症の原因になったり、妊娠している女性は早産を引き起こすこともあります。膣トリコモナス症の病態に少しでも当てはまるようなら、症状がないからと言ってそのまま放置せず、きちんと治療をしましょう。