公開日
2015/10/21
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ざっくりまとめると
ジスロマックの特長は効果の長さ!性器クラミジア感染症の治療なら1回飲むだけでOK。
ジスロマックは様々な感染症に有効。淋菌感染症や副鼻腔炎、歯周病の治療にも使われる。
ジスロマックが効かない耐性菌に注意!用法、用量をしっかり守ることが大切。

ジスロマックは、抗生物質の一種です。細菌の増殖を抑えることで、感染症の治療に効果を発揮します。効果が長く続くため、薬を飲む日数が少ないのが特長です。

ジスロマックは、主に性器クラミジア感染症の治療に使われます。また、淋菌感染症や歯周病、副鼻腔炎など、様々な感染症の治療にも有効です。一方、ジスロマックに耐性を持ち、効果を無効にしてしまう細菌も存在します。

ジスロマックの効果と、ジスロマックが有効な感染症について見ていきましょう。さらに、ジスロマックが効かない耐性菌についても解説します。

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ジスロマックにはこんな特長がある

ジスロマックの特徴は効果の長さ

ジスロマックの大きな特長は、効果が長期間にわたって続くことです。例えば、性器クラミジア感染症の治療の場合、1日飲んだだけで、効果が1週間続きます。ジスロマックの効果について、詳しくみていきましょう。

有効成分が体内に長くとどまる

ジスロマックの有効成分「アジスロマイシン」は、体内に長時間残ります。そのため、少ない用量で、効果が長く続くのです。

ファイザー株式会社が公開しているジスロマックの資料に、アジスロマイシンの効果の推移ついてまとめたデータがあります。

上のグラフは、アジスロマイシンの血中濃度の変化を表しています。グラフ中の●を結んだ線は、アジスロマイシン1000mgを服用した場合の濃度の推移です。血中濃度とは、血液中の有効成分の濃度を指します。

グラフを見てみると、服用して数時間で、血中濃度が最大になっています。また、服用から168時間、つまり、1週間経ったあとも、有効成分が血液中に残っているのがわかります。

ジスロマックは効果が最大10日間続く!

性器クラミジア感染症の治療の場合、ジスロマックの効果は10日間続きます。ジスロマックのインタビューフォームには以下のように記載されています。

尿道炎、子宮頸管炎の場合は本剤 1000mg(力価)を 1 回経口投与することによ り、アジスロマイシン感性のトラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)に対し て有効な組織内濃度が約 10 日間持続することが予測されているので、治療に必要な投与回数 は 1 回とする。

他の感染症に対する効果に対しても、以下の記載があります。

本剤 500mg(力価)を 1 日 1 回 3 日間経口投 与することにより、感受性菌に対して有効な組織内濃度が約 7 日間持続することが予測され ているので、注射剤による治療が適応されない感染症の治療に必要な投与期間は 3 日間とす る。

性器クラミジア感染症の治療の場合、ジスロマックの用量は1000mg分で、服用回数は1回のみです。

他の感染症の治療の場合は、500mg分を1日1回、3日間続けて飲みます。そうすることで、ジスロマックは1週間にわたって効果を発揮します。完治するまで毎日薬を飲む必要がないため、飲み忘れによって治療に失敗するリスクが低いのです。

ジスロマックを服用して2週間から3週間後に検査を受け、細菌が見つからなければ、完治したことになります。

ジスロマックの効果は、最初の服用から3日目には出るとされています。服用から4日経っても効果があらわれず、症状が改善されなかったら、医師に相談しましょう。

ジスロマックは様々な感染症に有効!

ジスロマックは様々な感染症に効果あり

ジスロマックは、様々な感染症の治療に有効です。性器クラミジア感染症だけでなく、歯周病副鼻腔炎気管支炎骨盤内炎症性疾患などの治療にも使われます。ジスロマックにはいくつか種類があり、薬の形や有効な感染症の種類が異なります。ジスロマックが治療に効果を発揮する感染症についてみていきましょう。

ジスロマック錠250mg

ジスロマック錠250mg

性器クラミジア感染症の治療の場合、「ジスロマック錠250mg」は、1回につき4回、つまり4錠飲みます。性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016 / 日本性感染症学会では、ジスロマックは「推奨レベルA」とされています。

以下の表は、ジスロマック錠250mgで治療できる感染症をまとめたものです。

殺菌・静菌効果を発揮する菌(適応菌種)

  • アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属
  • レンサ球菌属
  • 肺炎球菌
  • 淋菌
  • モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス
  • インフルエンザ菌
  • レジオネラ・ニューモフィラ
  • ペプトストレプトコッカス属
  • プレボテラ属
  • クラミジア属
  • マイコプラズマ属

治療効果を発揮する病気や症状(適応症)

  • 深在性皮膚感染症
  • リンパ管炎
  • リンパ節炎
  • 咽頭炎
  • 喉頭炎
  • 扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む扁桃炎
  • 急性気管支炎
  • 肺炎
  • 肺膿瘍
  • 慢性呼吸器病変の二次感染
  • 尿道炎
  • 子宮頸管炎
  • 骨盤内炎症性疾患
  • 副鼻腔炎
  • 歯周組織炎
  • 歯冠周囲炎
  • 顎炎

これらの症状のうち、尿道炎子宮頚管炎咽頭炎が、性器クラミジア感染症の主な症状です。淋菌によって引き起こされることもあります。

ジスロマック錠250mgが淋菌に有効なのは、淋菌による骨盤内炎症性疾患が起こった場合に限られます。

ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g

ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g

「ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g」は、2009年に新たに開発された薬です。どの病気も1回飲むだけで治療ができます。治療できる病気は、ジスロマック錠250mgと基本的に変わりません。ジスロマック錠250mgでは治療できない、淋菌による症状にも有効です。

ジスロマック錠600mg

ジスロマック錠600mgは、HIV患者が発症した「播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症」の治療と予防に使われます

播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症は、非結核性抗酸菌症とも呼ばれます。エイズによって免疫不全が起こっているときに発症しやすい感染症です。ジスロマック錠600mgは、非結核性抗酸菌症の治療だけでなく、予防にも使われます。

ジスロマック細粒小児用10%

「ジスロマック細粒小児用10%」は、15歳未満の小児用に作られた薬です。粉末状で、一袋に100mg分が入っています。小児の体重1kgあたり、10mg分が使われます。

ジスロマック細粒小児用10%が、治療に有効な感染症をみてみましょう。

殺菌・静菌効果を発揮する菌(適応菌種)

  • アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属
  • レンサ球菌属
  • 肺炎球菌
  • モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス
  • インフルエンザ菌
  • 肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)
  • マイコプラズマ属

治療効果を発揮する病気や症状(適応症)

  • 咽頭炎
  • 喉頭炎
  • 扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む扁桃炎
  • 急性気管支炎
  • 肺炎
  • 肺膿瘍
  • 中耳炎

ジスロマック細粒小児用10%は、子供でも飲めるように、苦味を軽減したフレーバー付きのものもあります。

ジスロマックカプセル小児用100mg

ジスロマックカプセル小児用100mgは、カプセルタイプの薬です。治療できる感染症や用量は、ジスロマック細粒小児用10%と変わりません。体重が15kg以上の小児に使われます。

ジスロマックが効かない?耐性菌に注意

耐性菌にジスロマックは効かない!

ジスロマックを正しい方法で服用しても、感染症の症状が改善されない場合、耐性菌に感染している可能性があります。耐性菌とは、抗生物質が効かない細菌のことです。

細菌は、身体の構造を変えたり、薬の成分を分解する機能を身につけたりすることで、抗生物質の効果を無効化する力を獲得する場合があるのです。

ジスロマックは、様々な感染症の治療に使われるぶん、耐性菌が生まれるリスクも高いとされています。

細菌がジスロマックに耐性を持っていた場合、「クラリス」「クラビット」「ビブラマイシン」など、別の薬が使われます。どの薬も、基本的な作用はジスロマックと変わりません。薬によって、尿道炎の治療に適したもの、子宮頚管炎の治療に適したものがあります。

処方されたジスロマックを飲み切っても症状が改善されない場合は、医師に相談しましょう。

薬を正しく使わないと耐性菌が生まれる!

耐性菌が生まれる大きな原因の1つが、薬の不適切な使用です。例えば、処方された薬を最後まで飲み切らないと、細菌が完全に駆除されず、生き残った細菌が薬に耐性を持ってしまいます。耐性菌が増えてしまうと、感染症の治療ができなくなってしまいます。

ジスロマックを処方されたら、決められた用法、用量をきちんと守って使いましょう

まとめ

ジスロマックは、抗生物質の一種です。細菌の増殖を抑えることで、感染症の治療に役立ちます。ジスロマックの特長は、有効成分が長く体内にとどまることです。効果が長続きするので、治療に必要な薬の量も少なくなります。性器クラミジア感染症の治療なら、1回飲むだけで効果が10日間続きます。

ジスロマックは、様々な感染症の治療や予防に有効です。性器クラミジア感染症だけでなく、副鼻腔炎や歯周病、気管支炎や骨盤内炎症性疾患などの治療にも使われます。また、薬の量や形によって、治療できる感染症が異なります。

ジスロマックを飲んでも感染症が治らない場合、菌がジスロマックに耐性を持っている可能性があります。細菌は耐性菌に変化することで、抗生物質を無効化してしまう場合があるのです。感染した細菌が耐性菌だった場合、医師の判断で、別の薬が選択されます。耐性菌が発生しないよう、ジスロマックを飲むときは、医師の指示や用法、用量を守り、正しく使いましょう。

この記事で紹介したクラミジア治療薬

  • ジスロマック錠500mg
  • ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g
  • ジスロマック錠600mg
  • ジスロマック細粒小児用10%
  • ジスロマックカプセル小児用100mg