
ジスロマックの副作用で下痢に…原因と対策は?
医薬品のなかでは副作用が少ない薬、安全な薬とされているジスロマックですが、どんな副作用があるのか、詳しく見ていきましょう。
ジスロマックを飲んだときにあらわれる軽い副作用
ジスロマックの発売前試験と発売後の成績調査では、利用者 6550例中 458例(6.9%) で副作用や臨床検査値の異常がみつかりました。
軽い副作用では下痢が最多
発売前後のデータをあわせたなかで最も多かった副作用が、下痢(消化器)の症状です。これは抗生物質全般に当てはまる副作用のひとつで、特に小さいお子さんによくみられる副作用です。
承認時における主な副作用または臨床検査値異常は、下痢 92例(3.28%)、好酸球数増加 75例(2.67%)、ALT(GPT)増加 62例(2.21%)、白血球数減少 45例(1.60%)、AST(GOT)増加 40例(1.43%)
ジスロマックの特徴は、下痢や腹痛等の副作用が服用期間終了後も生じる可能性があることです。
錠剤であれば3日間、SRドライシロップであれば1回の服用後、およそ1週間は薬効が継続します。このため服用を終了した後でも副作用があらわれることが、他の抗生物質に比べて起こりやすいという特徴があります。
発生頻度が1%以上の副作用
よくある下痢の症状以外では、血液中の好酸球数が増加する、肝臓のALT(GPT)が増加するという症状がみられます。
体の部位 | 副作用 |
---|---|
血液 | 好酸球数増加 |
肝臓 | ALT(GPT)増加 |
消化器 | 下痢 |
好酸球の増加は何らかのアレルギーによる疾患によくみられる症状です。ALT(GPT)は肝臓にある酵素です。健康診断でもおなじみの値で、肝機能が低下していると上昇する傾向があります。
いずれも数値が増加しただけでは、病気に直結するような副作用ではありません。
ジスロマックは抗生物質のなかでも、特に下痢が起きやすい
ジスロマックも属する「マクロライド系」という分類の抗生物質は、下痢を起こしやすい性質を持っています。服用中に胃が縮む、胃の消化液の分泌を促進させる、といったことが起こりやすい抗生物質なのです。
処方された分量をなるべく飲み切ることが症状改善の近道ですが、もし水の様な便が続いたり、強い腹痛を生じるような場合は注意しましょう。
ジスロマックといっしょに整腸剤で下痢対策
もし気になることがあれば、服用を中止する前に、医師や薬剤師に早めに相談しましょう。事前に下痢の恐れがあるということが分かっているため、病院によっては事前に整腸剤を処方するところもあります。
ジスロマックを飲んだときにあらわれる重い副作用
ジスロマックは、吐き気や胃痛、下痢などの胃腸症状が発生する程度で、他の医薬品と比較すれば副作用の少ない薬です。服用による重い副作用は滅多にみられない稀な症状のため、具体的に何パーセントの患者さんに起こるかといったデータは出ていません。
過去に報告されたいくつかの重い副作用のなかでも、発生すると命に危険が及ぶ恐れのある「ショック、アナフィラキシー」と「スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症」、薬剤性過敏症症候群の3つを紹介します。
ショック、アナフィラキシー
ショック、アナフィラキシー(アナフィラキシーショック)は医薬品によって起こる、急性の過敏反応です。早ければジスロマックの服用から5分以内に、遅い場合でも服用後30分以内に発生します。
主に皮膚のかゆみやじんましん、腹痛や吐き気などの消化器、声がかすれたり喉などの呼吸器に症状があらわれます。
なかでも「息苦しい」「意識がハッキリしない」などの症状があらわれた場合、緊急に医療措置を取る必要があります。特に患者が小さなお子さんだと、自分の状態をはっきりと説明できなかったり、大人のような分かりやすい症状があらわれないことがあります。大人以上に注意深い観察が必要になります。
医薬品全般によるアナフィラキシーは、年間で数百例ほどが発生していると推測されています。
ショック、アナフィラキシーがあらわれたときの症状
- 全身がだるい、ふらつく、冷や汗が出る
- 意識が薄れる、低下する、考えがまとまらない、めまいがする
- 顔がほてる、血の気が引く
- 目や唇のまわりが腫れる
- 声がしゃがれる
- 息苦しい、息切れする、動悸
- 皮膚にじんましんが出る
- 判断力が低下する
参考:アナフィラキシー / 重篤副作用疾患別対応マニュアル / 厚生労働省(平成20年3月):PDF
スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症
スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症(中毒性表皮壊死融解症)は医薬品によって起こる、重度の皮膚障害です。ジスロマックを飲んでから2週間前後で発生することが多い症状です。
38℃以上の高熱が出る、目や口などの粘膜の周りに発疹や水ぶくれがあらわれるほか、重い皮膚症状が全身にあらわれます。これらは医薬品のアレルギー症状で、中毒性表皮壊死症の症例の多くがスティーブンス・ジョンソン症候群の進展型と考えられています。
目や口などの粘膜に急性結膜炎としてあらわれ、半日から1日後には、体にも症状が広がります。死亡率が20%~30%と非常に危険な症状なので早期治療が大切です。病院に相談する場合は、服用したジスロマックの名前はもちろん、ジスロマックを服用してからの期間を伝えるようにしましょう。
スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症があらわれたときの症状
- 全身がだるい、関節が痛む、赤い斑点や水ぶくれができる、高熱が出る
- まぶたや目が充血する、目の結膜がただれる、
- ひどい口内炎ができる、唇や口内がただれる
- 食欲が出ない
- 皮膚に赤い発疹や斑点ができる
- 陰部が痛む
参考:スティーブンス・ジョンソン症候群 / 重篤副作用疾患別対応マニュアル / 厚生労働省(平成18年11月):PDF
参考:中毒性表皮壊死症(中毒性表皮壊死融解症) / 重篤副作用疾患別対応マニュアル / 厚生労働省(平成18年11月):PDF
薬剤性過敏症症候群
薬剤性過敏症症候群とは、高熱や臓器障害、全身に痒みを伴った赤い湿疹があらわれます。その他にも肝炎、黄疸、肝不全など肝機能障害として異常があらわれることがあります。
発生頻度は原因として報告されている医薬品(ジスロマック等)を使用する患者、1000人から1万人に1人(0.1%から0.01%)と少数です。医薬品によるアレルギー反応に、薬疹や感染症が複合して発症するのが特徴。
薬剤性過敏症症候群は、薬を飲んでから2週間後から6週間後と、かなり長い期間をあけてから発症します。ジスロマックには効果(半減期)が長いというメリットがありますが、裏を返せば副作用などの経過観察が必要な期間も長いのです。
参考:薬剤性過敏症症候群 / 重篤副作用疾患別対応マニュアル / 厚生労働省(平成19年6月):PDF
その他の重い副作用
上記3つの症状以外にも偽膜性大腸炎、心室頻拍、急性腎不全、横紋筋融解症、無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)、薬剤性過敏症症候群、薬物性肝障害、血小板減少症、間質性肺炎などが、ジスロマックの重大な副作用として報告されています。
以下のページには、ジスロマック錠(一般名:アジスロマイシン水和物錠)の重篤副作用疾患別対応マニュアルが詳しく掲載されています。専門的でより正確な情報が必要な場合は参考にして下さい。